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2017年5月11日

こんにちは。

稲葉歯科医院、院長稲葉由里子です。

先日、リーゲルテレスコープ治療後17年経過した患者様がメンテナンスにいらっしゃり、当時私が治療した方針が正しかったのだと嬉しく思ったのでご紹介させていただきたいと思います。

現在、患者様は香川県にお住まいで、1年に1度稲葉歯科医院にメンテナンスに来院、毎月地元の歯科医院でもメンテナンスを受けていらっしゃいます。

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平成12年に初診で来院、特に上顎ですが、全体的に歯周病が進んでいて歯もグラグラしていました。

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残念ながら、右上前歯、左側の奥歯はどうしても保存ができなかったため抜歯させていただきました。

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リーゲルテレスコープで内冠を連結し、外冠を製作して完成させました。

右上の2番を孤立させているのは、動揺があり、近い将来保存が難しいだろうと予測して離しておきました。

外冠で一次固定させています。

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こちらは、平成18年の時に写したレントゲン写真。

ほとんど変わりがありません。

リーゲルテレスコープは、内冠を連結することで強い固定効果があります。

驚く程の固定力があり、多少揺れている歯も保存することができます。

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こちらが、患者様の体の一部として機能しているリーゲルテレスコープ。

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咬合面観です。

現在は材料も進化し、咬合面も前装で白くすることができますが、当時はメタルで対応し、リーゲルレバーは、左の6番が将来危ないと思っていたので、鍵を前側に移しました。

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口腔内写真です。

歯肉も綺麗ですし、17年前よりもむしろ引き締まっているように感じます。

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平成29年のレントゲン写真。

心配していた、2番は意外にも大丈夫でしたが、左上の6番が破折しました。

痛みはないので抜歯を急ぐ必要はありませんが、患者様により長く使って頂くために、次回、床とシュパルテを増設修理をさせていただくことになりました。

患者様は

「高いなと思いながらも、退職金を使って歯に投資をしてよかった、あの時治療をしていなかったらすべての歯を失っていたと思う。」

とおっしゃっていました。

この歯と共に、最後まで人生を過ごしたいと思うので、由里子先生が提案してくれる修理方法があるのであれば、なんでもお願いしたいとでした。

17年前、私はまだ20代。

「先生、自信満々で薦めてくれましたよ!」

どこからそんな自信が湧いていたのかわかりませんが、若い私に投資をしてくださった患者様に感謝です(^_<)-☆

テレスコープシステムはこのように、修理をしながら長く使って頂く事ができます。

更に長く使って頂くために、これからも責任を持って見守っていきたいと思います。

2017年4月24日

顎関節症ライブ実習コース〜前半〜

に引き続き、2日目の後半の模様をお届けいたします。

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KaVoアルクスディグマによる顎機能検査で治療前の状態を記録します。 

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ディグマを担当したのは、稲葉歯科医院、小西浩介先生です。

大変わかりやすい解説で、スムーズに行われました。

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治療方法は、かみ合わせの調整により、補綴物のバランスをとること。

患者様の本来あるべきかみ合わせに近づけます。

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ほんの少しの顎のズレを調整しただけでしたが、患者様のディグマ(顎の動き)の変化はどうでしょうか。

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治療前のディグマのデータです。

左側の赤い線はほとんど動いていませんでした。

開口方向も左側にシフトしているのがわかります。

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そして、治療後のディグマです!

左右がバランス良く、動いているのがわかると思います。

開口方向も真っすぐ。

たったわずかなズレで、患者様は顎関節症の症状が起きてしまいました。

大変素晴らしい、治療前と治療後の記録です。

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マニュピュレーションも行い、3.5センチだった開口量は、4センチと変化。

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後日、患者様から感想をいただきました(^_^)

・・・・・・・・・・・

二日間の顎関節症学会。

顎関節の炎症に数年悩み、お声掛け頂いて、この度患者として治して頂きました。

開口3.5→4.0開き、また真っ直ぐに、痛みも伴わず、楽に開口出来たときは、感動のあまり。

肩こり、左顎痛&腫れ、偏頭痛も噛み合わせからくるものに起因していることが分かり、咬合について、学びの良い機会になりました。

その後のお食事でさらに実感してます♪

IPSG副会長岩田光司先生の実習は本当にお見事でした。

全国からいらっしゃった歯科医師や歯科技工士の皆さま、二日間お疲れさまでした。

温かくお迎え頂き、感謝でいっぱいです☆
顎関節でお悩みの方は是非お勧めします。顎が外れた時の治し方も教わりました。

精巧なデータから、治療後の結果を見た時驚きでした。

今日も顎もとっても快適です。硬いものを食べてみますね!

数年食べてないので楽しみです。

今後の私の歯は全て由里子先生と岩田先生にお任せします。

・・・・・・・・・・・

かみ合わせの細やかで微妙な調整は、私達歯科医師、歯科技工士の知識力の有無に大きく左右します。

顎関節症の治療は、『咬合』の知識の集大成です。

今回の2日間の実習では、あたらめて咬合との密接な関係を知る事ができた貴重なコースでした。

ご参加いただいた先生方、また協力してくださった患者様、本当にありがとうございました!
2017年4月21日

こんにちは。

稲葉歯科医院院長、稲葉由里子です。

4月15.16日に開催された、顎関節症ライブ実習コースの模様を前半、後半に分けてお届けしたいと思います。

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『顎関節症ライブ実習コース』では、実際に顎関節症で困っていらっしゃる患者様をお呼びし、問診から治療まで、すべて先生方の目の前で、デモンストレーションします。

咬合からのアプローチで顎関節症を治療する実習はIPSGでしか行っていない、非常に貴重なセミナーです。

昨今、咬合と顎関節症は関係がないという風潮があります。

しかし、それは学問を諦める事。

私達は患者様が顎関節症から精神的な問題へ移行しないように、歯科の全能力を集めて治療を行う必要があります。

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顎関節症の3大症状は、痛み・運動障害・音。

診断の際、下顎運動の動きがキーポイントとなります。

下顎の前歯切端の正中にフロスを挟んで、どちらに動くのか、方向を必ず見てください。

その動くが、S字状を描くとしたら、これは関節円板の異常となります。

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今回、患者様の診断から治療まですべて実習していただいたのは、IPSG副会長岩田光司先生です。

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岩田先生は、顎関節症治療のスペシャリストです。

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今回ご紹介いただいた顎関節症の患者様です。

私も1度もお会いしたことはなく、事前情報として症状のみメールでいただいておりました。

・・・・・・・・・・・・・・

顎関節症と診断されたのは、昨年9月くらいだと思います。
その時は、深夜あくびをしましたら、カクっとなり、一瞬外れたのかと思いましたが、とりあえずその日はそのまま寝ました。

次の日から、口を開けたり、モノを噛んだりの動作に、激痛が走り、ロキソニンをのんで緩和してました。

二日目に歯科の予約取れましたので伺って、レントゲンなど撮りました。

上顎と下顎の嚙みあわせる軟骨?のようなクッションのような部位がずれやすいのか炎症を起こしているのか?
そんな説明を受けた気がします。詳しくなくて申し訳ありません。
そして、その後、1週間後にマウスピースを作ってもらうために再診。
その後受けとり、マウスピースでの就寝となりました。

ただ、口が小さいのか
マウスピースつけての就寝は中々寝れず、途中で外すこともしばしばで、
今年になってからは数回しかつけておりません。普段より歯を食いしばるのも原因があるようですと、言われました。

今は、口を大きく開けると、ピキっといったり、カクカクはしますが、前回のように激痛はありません。普段より歯を食いしばらないよう、気をつけてはいます。
また、大あくびなどはしないようにしております。 

・・・・・・・・・・・・・

とのことでした。

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レントゲン写真です。

臼歯部に修復物が多数歯見られます。

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愛弟子である岩田先生の実習を見守る稲葉先生。

背中から愛情を感じます!

この時、1度患者様に口を開いていただいたのですが、関節円板に乗っているように見えました。

「3.5センチ。」

と、つぶやく稲葉先生。

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実際に計測してみると、正に3.5センチの開口量でした。

稲葉先生のつぶやきを聞いていた、先生方はビックリされたと思います。

これは、不安定ながらも関節円板にギリギリ乗っている状態なのだそうです。

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ドップラー聴診器にて、関節の音を確認します。

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左側に雑音がありましたが、クリック音ではありませんでした。

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筋触診です。

やはり、筋肉の緊張が全体的に左側に現れているようでした。

この時、アイソメトリックの筋収縮があると、筋肉が育ってしまいます。

咬筋肥大ですね。

咬筋粗面が増えると、エラが張ったようにも見え、患者様の中には腫瘍ができたと心配される方がいらっしゃるほどです。

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岩田先生は、状態を説明しながら、実習も行うという大役を見事に果たされていました。

しかし、あきらかな原因はまだ見つけられないままです。

不安な気持は、私も一緒です。

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フェイスボウトランスファーで、上顎の位置を咬合器にトランスファーします。

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中心位を3枚記録し、一致する事を皆の前で見せることがどれだけ大変か。

しかし、しっかりと合わせてきました。

素晴らしい!

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印象採得した模型を、咬合器に付着し、チェックバイトにて顆路調整を行いました。

その際、右側の矢状顆路角は55度、側方顆路角は10度。

左側の矢状顆路角は62度、側方顆路角は20度と出ました。

左側の側方顆路角が、20度という数字はあり得ません。

臼歯の傾斜により顎の角度が消されてしまっている可能性があるため、ランディーンによる側方顆路の平均値、7.5度の平均値に設定し診断を行いました。

やはり、この数字からも、臼歯部の干渉が予想されます。

(このあたり、なかなか難しいと思います。
IPSGで開催される『咬合認定医コース』または、次回開催される『咬合治療の臨床』にて詳しく学んでいただけると思いますので、ぜひご参加ください。)

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そして、1日目の実習の後は、懇親会です♪

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患者様も、一緒に参加してくださり、顎関節症の悩みを聞かせて頂く事ができました。

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お仕事はネイリストだそうです。

私達の仕事ではなかなかネイルはできませんが、いつかぜひお願いしたいです(^_^)

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咬合認定医コースを受講していただいた先生方もご参加いただき、和気あいあいとした雰囲気で、顎関節と咬合の密接な関係を再確認したひと時でした。

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IPSG認定技工士の小平先生も今回は、お手伝いいただきました。

ありがとうございます!

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岩田先生、そしてサポートしてくれた小西先生、どうぞ明日もよろしくお願いします。

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勉強することは、私達にとって生きる喜びです。

新しい刺激を沢山頂き、本当に充実したセミナーを過ごすことができました。

2日目は、いよいよ治療です!

患者様にどのような変化が起こるでしょうか・・・

『顎関節症ライブ実習コース』〜後半〜に続きます(^_<)-☆

2017年4月 6日

最近は、顎関節症と咬合は関係がないという風潮があります。

顎関節症は触らない方が良い、咬合調整をしてはいけないと言われています。

しかし、それは学問を止める事だと思います。

インレーやクラウンなどの被せものや詰め物を、先生方は日常的に沢山歯を削っています。しかし、顎関節症だけ削ってはいけないと言うのはいかがなものかと思います。

削ると言っても、ほとんどが修復物、そして天然歯においてはほんのわずかです。

かみ合わせの診断を行えば、顎関節症の治療は非常に単純な事が多いです。

今回の症例は、当院顧問、稲葉繁先生が代表を務めるIPSGスタディーグループでの模様を通じて、ご紹介させていただきたいと思います。

 

【患者様の症状】

・口が大きく開くことができません。開ける時にはくの字に開きます。顎がカクッとなり、ひどくなると開かなくなると聞いてビクビクしています。口を開く時、意識せずに開けた事が記憶にない感じです。

・犬歯が下の歯の形に削れています。
主人の話、母の話を総合すると、子供の時から歯ぎしりがひどいようです。
一度、歯科でリテイナーを作りましたが、メンテナンスできず放置です。

・顔以外の気になるところは、腰痛が徐々にひどくなり、2週に一度以上、マッサージを行っております。

・偏頭痛があったこともありますが、この2年ぐらいはない気がします。

との事でした。

レントゲン写真です。

顎関節のレントゲン写真の診断の目安として、関節の変形がないかどうか、また関節円板(関節部のクッション)に乗って正常に動いているかどうか、下顎頭と側頭骨の間に隙間があるかどうかをチェックします。

患者様はひとつも修復物がなく、また歯周病もなく、大変綺麗な歯列をされています。
矯正治療の経験もありません。

顎関節症の原因として、インレーやクラウンなどの修復物、被せものや詰め物が関与することがありますが、それは今回のケースにおいt当てはまらないようです。

 

クリック音の検査は、ドップラー聴診器を用います。

浅側頭動脈の血流を目安にそこから6ミリ前方に顎関節があります。

左右共に、かなり関節が傷ついた様な雑音が聞こえました。

雑音は、関節円板が傷ついている時に鳴ります。

 
上下の口が開く量は、28ミリ。

クローズドロック、顎がロックされている状態だと20ミリ前後の開口量なので、ギリギリ関節円板(関節部のクッション)に乗っているという状態です。

患者様はご自分で開口制限をされており、思いっきり開けるのが怖いそうです。

 
 
下顎の右側の親知らずはレントゲンを見ても確認できるように、真横に生えています。

その隣の大臼歯が斜めに傾いていることが原因かもしれないと予想する必要もあります。

 
これは、フェイスボウトランスファーという、歯科治療の際、診断と治療の基本になる作業です。

回転したり、左右前後に動いたり、顎関節の動きは非常に複雑です。

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顎関節症の患者様はこのレベルまでしっかり診断する必要があります。

 
模型を、咬合器というかみ合わせの機械に付着し、調整を行います。

顎がリラックスしている位置と、実際噛んでいる位置にズレがないかどうか調べます。

この模型診断はとても重要で、たくさんのことがわかります。

今回、患者様の顎関節症の原因は、右側の親知らずが手前の大臼歯を押していたため、かみ合わせの角度が変わり、その部位が原因となり、バランスが取れていない事がわかりました。

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KaVo ARCUS DIGMA2による、顎機能運動の計測、治療前の状態、治療後の状態を比較します。

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患者様の状態によっては、スプリント治療(マウスピース)を行う場合もあります。

関節円板が落ちている患者様に犬歯誘導型(前歯でバランスをとる)スプリントを製作すると、痛みを発症するため注意が必要です。

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スプリントは1ミリのプレートにレジンを一層盛り上げ、たわまないようにし、全体でかみ合うように調整します。

そして、治療に入ります。

ここで、28ミリの開口量だと咬合調整が難しいため、マニュピュレーション(患者様の筋肉の力を利用、誘導して顎を開く技術)を行いました。

 

関節円板に下頭をより密着させ、痛みなく開口できるようになりました。

 
この時点で、28ミリから、46ミリまで、約2センチ開く事ができるようになりました。

途中から患者様が、

「音が消えました!」

とおっしゃっていました。(正確には少し雑音が残っていましたが、患者様の感覚はだいぶ違うようです。)

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咬合器で診断した場所と同じ部位を調整。

歯に溝を切る、窩を少し深くすることで、関節円板を密着させました。

明らかに治療前、後のデータが変わりました。

術前、術後の開閉口では、約2センチほどの差ががあります。


 

開閉運動において、顎の動きが全く変わりました。

スムーズに関節結節を乗り越えている事がわかりますね。

 
最後に。

「開閉は非常にスムーズです。私が感じていた、顎の音が取れて、正直びっくりしています。
雑音が少し残ってはいますが、私が今迄悩んでいた物とは全く違います。
意識せず、口を開くことができたのは、記憶にないぐらい遠い昔です。
気になっていた首の後ろ側の凝った感じもなぜか気になりません。
顎の周り、首周りが温かい感覚があります。本当にありがとうございました。」

と嬉しい感想をいただきました。

 
治療後、一緒にお弁当を頂きました。

わずかな咬合調整により、患者様の感覚は大きく変わり、顎の周りの筋肉の緊張が取れ、 沢山嬉しい感想をいただきました。

このように、ほんのわずかなかみ合わせのズレに気付く事ができるのは、私達、歯科関係者です。

生活習慣や、姿勢を気をつけていても、原因を取り除かなければ治らないものは治りません。

このわずかな、かみ合わせのズレに気付くために、私達は何百時間、何千時間もの勉強を積み重ねているのですから、もっとその重要性に気付くべきだと思います。

稲葉歯科医院では、しばらく顎関節症のご相談をお休みしていましたが、今後は積極的に取り組んで参りたいと思います。



2017年3月27日

こんにちは。

稲葉歯科医院院長、稲葉由里子です。 

当院に相談にいらっしゃる患者様の顎を触ってみると、多くの方が顎関節に問題があるように見受けられます。

顎関節症は顎付近の痛みを訴えたり、口が開かない、顎が大きく開けないといったもので、従来20代・30代の若い年齢の方に多い症状とされてきましたが、最近、50代・60代の顎関節症が急増しています。

50代・60代の方の顎関節症の原因はほとんどが、入れ歯による噛み合わせやバランスが合っていないことに起因していると思われます。

当院顧問の稲葉繁先生が代表を務める、IPSGスタディーグループの「総義歯ライブ実習コース」の模様をお伝えしたいと思います。

このコースは 3日間で、患者様の初診からセットまでライブで先生方に学んでいただくコースです。

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今回の患者様は2か月ほど前、稲葉歯科医院に相談に見えた方で、

「顎関節症で総義歯」

でインターネットで検索して、探したそうです。

いろんなところで入れ歯を作ったけれどもうまくいかず、本当に困っていらっしゃいました。

「総入れ歯専門の歯科医院にお願いしたのですが、顎関節症があると伝えると、顎関節症を治してからでないと作る事ができないと言われ、作っていただけなかったんです。」

と患者様はおっしゃいました。

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このライブ実習のために2か月待っていただけないかとお願いしたのですが、待ちきれず、他の歯科医院でまた総義歯を作りました。

やはり、その総義歯もうまくいかず、今回の実習コースで製作するということになりました。

現在は、食事の時だけ義歯をはめて他はいつも外していて常にマスクをされています。


従来の総入れ歯の型とりは、上下の型を別々にとっていましたが稲葉先生の上下顎同時印象は上下を一塊として型を採り、咬合器というかみ合わせの機械で二つに割ります。

シンプルで完成されたシステムを学びに全国から先生が集まります。

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スタディーモデル、患者様のお口の中の状態です。

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これが、上下顎同時印象用SIトレーです。バイトとゴシックアーチとフェイスボートランスファー、そして印象までとれるという 素晴らしいトレーです。

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患者様の顎の動きを描記します。

ここで、わかったのですが、患者様の顎の動きは正常でした。

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ゴシックアーチの後、いよいよ、上下顎同時印象です。ガンタイプのシリコン印象材を注入し、口腔内すべての情報をとります。

このシステムは、嚥下(飲み込み)をすることができます。

嚥下により、患者様が食事をして飲み込む状態の印象がとれるということです。

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フェイスボートランスファーです。

顎関節から、口元の状態まで記録することができる機械です。 

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咬合器に再現し、顎の位置の確認を行います。

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 上下顎同時印象による、模型です。

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以前の入れ歯と比較しても、こんなに大きさが違うのがわかります。

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技工はIPSG技工インストラクターの、岡部宏昭先生です。

岡部先生は、Dr.Schleichの総義歯コースのインストラクター、その腕は世界一といってもいいと思います。

稲葉先生と岡部先生のコラボは最強でした☆

稲葉先生の総義歯は人工歯が誘導し顎関節を守るというコンセプトです。

総義歯で、顎関節症という患者様は実はとても多いのです。

長い間、合わない入れ歯を使っていると、顎が動く関節円板というクッションに穴があいてしまい、顎が動く度にとても痛みを感じる方がいらっしゃいます。

入れ歯により、顎関節部に隙間をあけ、関節が痛みなく自由に動かすことができるようになります。 

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患者様への試適です。

試適はすべて配列した状態で、表情、発音、発音のチェックをします。

娘さんが一緒にいらしていただいたので、表情をみていただきました。

「歯があったころの母の顔です。」

とうれしそうにおっしゃっていただきました。

口角も上がり、しわもなくなり若々しくなりました。

この時点で、家族の方にみていただくのはとても大切なことです。

家族の方がヘンだと言われることが、実は一番の問題となります。

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試適の段階で、すごい吸着でした。ワックスの状態ですが、代表して触っていただきましたが、本当にびっくりされていました!!(@_@)

上顎はまだポストダムを掘っていないのでそこまでの吸着はありませんでしたが、完成した時点で今回参加いただいた先生方すべてに確かめてもらいます。

それにしても、稲葉先生の自信はすごいと思いました。

何も迷いのない臨床にみんなシビれてしまいました(*^^)v

さて、重合はイボカップシステムです。

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この写真はイボカップシステムから取り出したところ。

ホヤホヤです。 

フラスコでグツグツと煮る方法とは、まったく違います。

従来の総義歯の重合法は、グツグツ煮る方法では、重合収縮の補正ができません。

レジンは熱をかけると重合収縮します。

収縮した分、変形や気泡ができてしまいます。透明感もありません。

そのため、長く使っていると、その気泡の中に汚れがつき、臭いも入りやすくなります。

細かい気泡は義歯を破折させる原因ともなります。

イボカップシステムでは重合収縮を常にレジンを6気圧で押し込んで重合するため、気泡が入りません。

そのため、薄くても固く、変形もしません。

透明感もあります。

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岡部先生の技工作業、鮮やかです。
そして、完成した義歯がこちらです!!

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イボカップシステムの重合でこんなに透けるほど口蓋が薄いです。

 人工歯はIVOCLAR のビボデント、オーソシット、天然歯のような高い審美性と硬さを兼ね備えています。

素晴らしいですね☆♪

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患者様へのセットはみんなが注目です。

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試適の時、すでに吸着していた義歯は、本当にピッタリでした。

セット後、すべての先生にその吸着を確かめていただきました。

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そして、セット後、患者様と一緒にお弁当を食べました。

稲葉先生は食べにくい物をたくさんすすめていましたが、おしんこ、こんにゃく、肉を前歯でしっかり噛み切っていました。

お嬢様には

「お母さん、目が大きくなった」

とおっしゃっていただき、笑顔もとても素敵でした。

びっくりしたのは、お弁当、わりと量があったのですが、すべて召し上がっていただきました☆♪

入れ歯になってからお肉を前歯で噛み切るということができなかったそうですが、これからはなんでも美味しく召し上がっていただけると思います。

とても喜んでいただき、今回受講した先生方も一緒に喜んでいただけました!!

そして、今回、顎関節症ということで、来院されましたが、痛みがあるのは顎のまわりの筋肉の部分で、今まで合っていない義歯を入れていたために口の周りの筋に負担がかかっていたと思われます。

口も大きく開けられますし、診断時のドップラーでもクリック音や雑音のようなものは聞き取れませんでした。

この新しい総入れ歯を入れていただくことで、痛みも消えていくと思います☆♪

 

今回のセミナー、とても充実して素晴らしい結果でしたが、先生方からもこんな感想を いただきました!!

ご参加いただき、本当にありがとうございました☆

 ☆彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜。o.゜。・*。・゜.。☆彡

◆インプラントをすてて正しかったと思いました。すばらしい総義歯です。

◆ 大学では勉強できなかった知識・技術が非常に多く学べました。今までの義歯の臨床は多くが間違っていたことに驚きました。今後も、是非、稲葉教授の勉強会に参加させていただきたいです。

◆まず最初に驚いたのは予備印象のあまりの精密さでした。辺縁がとてもきれいにとれていました。そして上下顎同時印象。これは何もかもが私にとっては新しいもので、言葉がなかなかでてきませんでした。普段見れないラボワークをみれたことと質問一つ一つに手稲にに答えてもらってとてもわかりやすく楽しかったです。様々な勉強が一度にできてとてもよかったです。できれば一年に一度だけでなく、もう少し回数を増やしてほしいです。

◆大学で習ったものとは随分違うのに驚きました。チェアーサイドだけでなくラボサイドも見学できたのでよかったです。実際に患者様を触らせていただいて、下顎の吸着もそうですが、無理なくフルバランスで側方運動できるのに感動しました。補綴は解剖学なんだなと思いました。

◆初めて総義歯のセミナーに参加しました。内容の濃い充実したセミナーでした。今後総義歯にも積極的に取り組んでいきたいと思います。

◆全てに基準があるので、稲葉先生がやっても私がやっても同じ結果を生み出すことは難しいけど、明日からの日常臨床で基準に従えば今日勉強した事が生かせるのですごいです。(例えば印象時のトレーの傾き、マウントの仕方、排列など、学生の頃は何となく並べてきれいならよいとか明確な基準がありませんでした。)

◆今の歯科治療に対して今回勉強会に参加したことで、今までの治療ではダメだという事がわかりました。義歯の調整はまず咬合から。一番最初が大切なので、自分の印象をもっと努力していこうと思います。歯科衛生士として何ができるかもっと勉強していきたいです。

◆何度かセミナーを受講していますが、実際に見ると聞くとでは全然違いました。知識も大切ですが、一気に理解が深まったように感じます。これを機に、実践で取り組みたいと思います。

◆稲葉先生の総義歯には数多くの咬合理論が含まれていて今後学んでいく上でとても大切であると思いました。もちろん出来上がった義歯は最高でした。多くを学ばせていただきありがとうございました。

◆上下顎同時印象のすばらしさに感動しました。フルバランスの咬合を患者さんの口の中を触らせてもらって体感できて、すごく安定しているのがわかりました。

◆DVDで見るだけでは不明な点もよくわかりました。

◆上下顎の吸着のすごさにびっくりしました。感動しました。ぜひトライしてみたいです。今日はありがとうございます。

 

『顎関節症とかみ合わせ』〜その3〜

に引き続き、一連の治療手順のまとめとなります。

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まず、患者様の姿勢について、どのようなポイントに気をつけて考察したらよいかをお話いただきました。

顎関節症の患者様は前傾姿勢の方が多いのですが、今回はそんなに前傾にはなっていませんでした。 

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治療前の開口量は2.3センチ。

クローズドロック(口がロックして開かない)の状態です。 

通常は4~5センチ開くことができます。

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ドップラー聴診器による関節音の記録について、動画でご覧頂きました。 

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そして、クローズドロックを解除、

マニュピレーションの様子を動画でわかりやすく解説。 

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そして、患者様の口腔内の様子です。

私が最初にこのオルソパントモグラフィー(レントゲン)を見た時、あきらかな原因が見られないと思いました。

例えば臼歯の挺出、8番の干渉などです。

しかも、15年も開いていない・・・

となると、本当に治るのか少し不安が過りました。

患者様は矯正治療をされていて、矯正が修了したあたりから、徐々に口が開かなくなったとおっしゃっていました。 

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咬合診断の手法について、気をつける点、チェックポイントなど岩田先生がわかりやすく解説してくださいました。

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術前のKaVoアルクスディグマでは、関節が結節を乗り越えていません。

関節顆の中だけで回転運動をしているのがわかります。 

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KaVoプロター咬合器に模型を付着。 

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顆路傾斜各は

右側 矢状顆路角 45度 側方顆路角 8度

左側 矢状顆路角 50度 側方顆路角 8度

矢状顆路角の傾斜がやや強いけれど、イミディエートサイドシフトはありません。 

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顎関節症の分類もしっかりと頭の中に入れておきたいものです。

動画を用いて説明された、ステージ分類は非常にわかりやすかったです。  

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そして、こちらが治療前、治療後の開閉口の結果です!!!

左が治療前、右が治療後。

あきらかに動きが違うのをご覧頂けますでしょうか?

開口量は倍。

関節も回転だけではなく、滑走している様子がご覧頂けるかと思います。

素晴らしい〜!!  

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EPAテストもど真ん中。

稲葉先生の中心位の記録の正確さには、先生方もびっくりされていました。 

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治療後のディグマ、滑走しているのを確認しました。

一日で、この変化は凄いことだと思います。 

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岩田先生が最後にわかりやすくまとめてくださったため、先生方も頭の整理ができました。

最後の質問も、終わりがないほど続きました。

その中で、私も質問したかったこと。

「15年間もクローズドロックの状態だったので、骨癒着、アンキローシスをおこしていたら口が開かなかったと思うのですが、その点どのように判断されたのでしょうか?」

との質問に。

「口を開ける前に中心咬合位で側方運動を確認しました。そこでわずかに関節が動いているのを確認し、アンキローシスを起こしていないことを確信しました。」

と稲葉先生。

奥が深いです〜!

実際、アンキローシスを起こして開かない患者様を何人かみているので、その判断方法はどのようにするのか、私も悩んでいました。

あの時、そんな、細かいところをチェックしていたなんて・・・

稲葉先生の凄いところは、口で言うことをすべてやってみせ、結果を出すところだと思います。

臨床をやらないで、講義だけする先生との説得力とはまるで違います。  

今回の実習は本当に素晴らしく、受講してくださった先生方は歯科の仕事のやりがい、喜びを感じてくださったと思います。

私自身、患者様が娘の保育園小学校のパパ友ということもありレポートさせていただけた事で、改めて大変勉強になりました。

患者様の笑顔を思い出し、これからも頑張っていきたいと思います(^_<)-☆

そして2日間ご参加いただいた先生方本当にありがとうございました。 


『顎関節症とかみ合わせ』〜その2〜に引き続き、いよいよ治療です。

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前日にマニュピレーションを行い、開口量2.3センチだった関節が、4.5センチまで開くことができるようになりました。

変化として、顎のクリック音が出始めたということ。

ドップラー聴診器で音を確かめます。

「顎が鳴るっていうのは、良い傾向ですよ!関節円板に乗って口が開いている事ですから(^_^)」

と稲葉先生。

関節の音がしない。

という事は、正常で音がしないという事と、関節円板が落ちて滑走できないために、音がしない事と2つの理由があります。

昔、クリック音があったけれど、最近なくなった。

というのが一番危ないケースです。 

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 当日の朝ごはんは♪

「今迄食べる事ができなかった大きなおにぎりを食べる事ができました!」

とメッセージをいただきました。良かったですね!!

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咬合紙で中心位の接触から調べて行きます。

咬合器とほとんど同じ接触です。

今回の咬合調整法はギシェー法です。

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素晴らしい!

こんな大画面で稲葉先生の咬合調整を見る事ができます。

非常にわかりやすかったと思います。

【ギシェー法・咬合調整順序】

1.中心位の早期接触を除去します。

接触している部位を上下とも削除します。

ただし、この時セントリックストップを失わないように、また、セントリックストップの位置が咬頭頂と窩底となるように、咬頭をシャープに窩底を広げるように削ります。

2.前方運動時の干渉、接触の除去

●平衡側

支持咬頭の内斜面を咬頭頂(セントリックストップ)を残して削除し、この咬頭の通り路を対向する支持咬頭内斜面に形成します。

この時、窩底につくったセントリックストップを削除しないように気をつけてください。

●作業側

上顎舌側咬頭の外斜面を咬頭頂を残し削除します。

下顎の舌側咬頭内斜面については求める咬合形式が犬歯誘導かグループファンクションかによって、 またグループファンクションにしてもどの歯まで接触させるかで接触させる歯させない歯が出てきます。

接触させない場合は下顎咬頭外斜面を削除し、この咬頭い通り路を上顎咬頭内斜面に形成します。

接触させる場合でも広報の歯が強くあたるのは干渉であるので、同時に接触するように調整します。

犬歯誘導の場合はこのような臼歯部接触はすべて除去します。

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スチュアートの咬合調整法との違いは、中心位の調整を最初にやるか最後にやるかということですね。

どちらにも共通する原則は、不正なテコ現象の視点となるような咬合接触を取り除く事、そして咬頭嵌合時に臼歯には歯軸方向に力、荷重が加わるようにすることです!  

咬合調整と言ってもごくわずかです。

調整後、咬合した時の音が高く澄んだ音に変わりました。

原因を取り除きました。

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そして、ディグマで治療後の様子を確認します。

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私たちが何より嬉しいのは、患者様の喜びです。

何度も何度も口を開いて、口が開く喜びを噛みしめてくださいました。

お子様からも、

「こんなに口を大きく開くパパ、初めて見た!」

とびっくりしながら言われたそうです(^_<)-☆

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患者様と稲葉先生も和やかでしたし、実習の雰囲気も熱気が伝わってきました。

ご協力いただいた患者様の坪坂さん、本当に感謝です。

坪坂さんのおかげで、歯科医療の深み、喜びを改めて実感された先生も沢山いらっしゃったのではと思います。あ

『顎関節症とかみ合わせ』〜その4〜では、治療前、治療後を考察したいと思います!!

 

顎関節症とかみ合わせ』〜その1〜に引き続き、実際の患者様の治療の手順をお伝え足します。

セミナー当日は、朝はやくからお集りいただき、先生方の熱心な様子が伝わってきました。 

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9時から10時まで、大画面モニターを用いて、実習形式で講義がありました。

専門的なため少し難しいと思いますが、大変重要な内容だったので お伝えさせていただきたいと思います。 

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前日にマニュピレーションをし、患者様の口を開けましたが、そうなった原因は取り除いていないので、また再発する可能性が高いです。

私たちは咬合診断により原因を突き止め、原因を治療することにより、再びロックしないように、口が開く状態を永続性があるようにしなければなりません。

咬合調整の目的は・・・

顎関節を考えた咬合調整をすること。

顎関節と円板をタイトにすることです。

ギシェーは顎関節を第4大臼歯と呼んでいるほど、咬合と密接に関わっています。 

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顆路とは側頭骨の関節窩に対して、下顎頭(顆頭)が関節円板を介して、顎が動いていく状態のことを言います。

その中で、下顎が前方に動いていく道を『矢状顆路角』といいます。

側方運動では、平衡側で矢状顆路角の前内下方を通ります。

これを『側方顆路角』といいます。

通常、この矢状顆路角、側方顆路角は咬合平面に対する角度で表し、咬合平面は、カンペル平面(補綴平面)とほぼパラレルであるため、カンペル平面となす角度としてとらえることができます。 

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 ギージーは矢状顆路角は平均33度としています。

側方顆路角は矢状顆路角より、さらに内方を通るため、角度は5度程度急になります。

矢状顆路角と側方顆路角のなす角度を『フィッシャーアングル』と呼んでいます。

フィッシャーアングルは5度です。 

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さらに、これを水平面に投影した角度を『ベネット角』といいます。

その角度はギージーによれば、13.9度でありますが、ランディーンによれば、下顎の側方運動開始から4ミリのところで、サイドシフトとよばれる動きが現れます。

(これをイミディエートサイドシフトと呼んでいます)

最初の4ミリを超えると、差がなくなり、その平均値は7度で個人差はみられません。

側方顆路角の平均値は7度と覚えておくだけでも、大きな助けとなります。 

●イミディエートサイドシフトとは。

下顎側方運動の際、作業側で下顎頭は回転し、平衡側では前内下方に動きますが、作業側の下顎頭は純粋な回転ではなく、わずかに側方に移動しながら平衡側は動きます。

したがって平衡側では動き初めに即座に作業側の方向に動きます。

これを『イミディエートサイドシフト』といいます。

この運動は、咬合面に描かれるゴシックアーチの形態に影響してきます。

中心支持咬頭(セントリックカスプ)の動き初めにその軌跡が変化しますので、中心位からの作業側、平衡側ともに干渉をおこしやすくなります。

そのため、中心位における運動の出だしを調整する必要がでてきます。

これを再現するためには、作業側顆頭の性質を再現できるような咬合器を使用することが必要です(^_<)-☆ 

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咬合調整 

◆BULLの法則

咬合調整の時に咬合紙の色が印記された歯が上顎と下顎どちらを削ったらいいのか悩むことがあります。 その時、どちらを削るのかという法則です。

ぜひ、模型をみていただいて、確かめていただきたいと思います。

● 非作業側→上顎では下顎歯の咬頭が通過できるよう。また下顎には上顎歯の咬頭が通過できるように、溝を形成します。

● 作業側→BULLの法則を適用します。

BULLの法則といいうことは、上顎(U)の頬側咬頭(B)、下顎(L)では舌側咬頭(L)を削るというルールです。

下顎の前歯の切歯点を結んだ三角をボンウィルの三角(10センチ)といいますが、最低でもこの大きさの咬合器でないといけません。 

 ボンウィルの三角と咬合平面(曲面)とのなす角はバルクウィル角(平均26度)ですね☆

「咬合診断を行うためには、このような基本をきちんと抑えておく必要があります。」

と稲葉先生。

基本をしっかりと抑える。

大切なことですね!!! 

『顎関節症とかみ合わせ』〜その3〜に続きます。

こんにちは。

稲葉歯科医院院長、稲葉由里子です。

最近、患者様の顎を触ると、多くの方が口を真っすぐに開く事ができなかったり、顎にカックン、ジョリジョリというような音が響く方が多く見受けられるようになってきました。

元々、当院では顎関節症を専門としていましたが、入れ歯治療が忙しいため、しばらくお休みしていました。

しかし、最近の治療の流れが、顎関節症とかみ合わせはあまり関係がないという事を耳にすることが多くなってきているので、もう一度見直していきたいと思います。

かみ合わせを専門に学んでいくと、顎関節とは切っても切れない関係があり、明らかに原因がかみ合わせにある事に気付きます。

残念ながら、整骨院では治らないケースも沢山あります。

姿勢の治療や生活習慣で治る軽度の顎関節症もあるかもしれませんが、原因がかみ合わせにある場合は多くのケースで再発します。

顎関節症に付随する症状、肩こり、片頭痛、かみ癖、顎の痛み、全身のゆがみなどを一生引きずって過ごしていくことから解放されるのであれば、1度きちんとした診断を受ける必要があると感じます。

当院顧問の稲葉繁先生が代表を務める、歯科のスタディーグループの『顎関節症ライブ実習コース』が開催されました。

全国から沢山の先生方にお集りいただきました。

かみ合わせと顎関節症がいかに密接に関わっているかを、数回に渡りお伝えして参りたいと思います。

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『顎関節症ライブ実習コース』は実際に顎関節症の患者様をお呼びし、 問診から、治療まですべて先生方の目の前で、デモンストレーションさせていただきます。

最近は、顎関節症と咬合(かみ合わせ)は関係がないという風潮がありますが、本当にそうでしょうか?

かみ合わせについて、深く学び、診断ができる方であれば、関係がないとは言えないはずです。

「顎関節症をどうやって治したらいいのかわからない。」

「マウスピースを入れるぐらいしか、治療方法が思い浮かばない。」

という先生方の声を聞きます。

稲葉先生は52年の臨床経験の中で、咬合からのアプローチで顎関節症の患者様を治してきました。

ぜひ、2日間じっくり勉強していただきたいと思います。 

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稲葉先生がドイツに留学したきっかけとなったのは、当時チュービンゲン大学口腔外科のシュルテ教授の論文に非常に感銘を受けたからです。

442名の患者様の治療内容を丁寧に整理し、順序立てて解説されている論文でした。

稲葉先生はすぐにシュルテ教授に手紙を送り、ドイツへ客員教授としてチュービンゲン大学に在籍することになりました。

1年に1度開催される特別講義は、4週間の間、朝から晩まで徹底的に顎関節症を学びました。

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1980年に帰国し、シュルテ教授から学んだ内容などをまとめて文献や学会で発表しました。

『顎口腔系機能障害患者の家庭療法』

家庭療法に関しては、今でこそ日本でも取り上げられていますが、当時は全く興味を持ってもらえなかったそうです。

早すぎたのでしょうね。

舌癖に関しても、シュルテ教授から沢山学んだそうです。

顎関節症に関して、手術をしなければいけない症例は442名の中、たったの16名だったと言いますが、稲葉先生の経験ではほとんど咬合からのアプローチでほとんど解決できるとのことです。

顎関節症は、肉体的なものと、精神的なものは分けた方がいい。

精神的な状態に追い込む前に我々が治す必要がある。

と言っていました。

最近では、顎関節症と咬合は関係がないから、噛まさないようにしなさい。

と指導している先生もいらっしゃるようですが、現実無理です。

かみ合わせと関係がないと言いながら、かみ合わせてはいけないというのは矛盾があります。

患者様を不幸にしないためにも、しっかりとかみ合わせを学び、診断をして原因を見つけられなくてはいけません。

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顎関節症の基礎知識について、詳しく話しをしました。

咬合調整の目的は・・・ 顎関節を考えた咬合調整をすること。

顎関節と円板(クッション)をタイトにすることです。 ギシェーは顎関節を第4大臼歯と呼んでいるほど、咬合と密接に関わっています。

いつもお伝えしますが、顎の形は五角形です。

わかりやすいのは、椅子は五角形が一番安定することを思い浮かべて頂ければと思います。

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いよいよ、患者様がいらっしゃいました。

今回ご協力いただいた患者様は、私の娘の保育園、小学校のパパ友の坪坂さん。

家族ぐるみで仲良くさせていただいています(^_^) 

実習当日に初めて来院してくださいました。

事前にメールをいただいていた内容は。

・・・・・・・・ 

・上下の歯の間に指2本入るか入らないくらいのところで口がそれ以上開かなくなる(ロックするような感じ)

・顎を左右にずらすようにするとゴキッという音がしてそれ以上開くようになる。 (左右で若干違っていて、右は最初にロックした位置で止まっていて、左をずらす感じです)

・普段は痛みなどはないが、冬の寒い日などにやや痛みを感じることがある

・普段の食事はよいのですが、おにぎりやサンドイッチのように切り分けて食べられないものは結構大変です。 肩こり、腰痛はあります。 腰痛は特にひどいです。 あと関係あるかわかりませんが、年中鼻が詰まっている感じです

・・・・・・・・・

このメールを読んだ時は、口を開く事ができるのかな。

と思っていましたが実際は。

なんと。

15年も口が開かない、いわゆるクローズドロックの状態でした。

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筋触診から始めます。

筋肉は割とリラックスしていて、異常な緊張などはみられませんでした。 

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セミナールームではご覧のように、患者様の口の中の様子がリアルタイムで、先生方にご覧頂けるため、実際に口の中を覗くよりもわかりやすく大画面で勉強していただくことができます。

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開口量は、2.3センチ。

ということは、指2本分です。 

関節円板(関節部のクッション)に乗って滑走していない、クローズドロックの状態ですね。 

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ドップラー聴診器による、クリック音の検査。

浅側頭動脈の音を確認し、そこから5ミリ前方が顎関節の位置です。

左側に雑音が少しありました。 

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佐藤先生によるKaVoアルクスディグマによる顎機能検査で治療前の状態を記録します。  

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そして、マニュピレーションです。

口が開かなければ、咬合診断をするための印象を採ることができません。

この時、稲葉先生は何かを調べていました。 

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「よし、乗った!」

ということで、鮮やかです!!

実は口が開くかどうかとても心配でした。

なぜなら、15年間も口が開いていなかったので骨性癒着、アンキローシスを起こしている可能性があったからです。 

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患者様もビックリ。

まさか、自分がこんなに口が開くとは思わなかった。

とおっしゃっていました。 

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開口量、4.5センチ。

患者様は痛みなく、スムーズに開ける事ができました。

もし。

開かなかったらどうしよう・・・

という私の不安は払拭。

本当によかった。

素晴らしいです! 

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さて、ここからは咬合診断です。

患者様は意識されていませんが、ずっと足を組んでいらっしゃいます。

フェイスボウトランスファーで、上顎の位置を咬合器にトランスファーします。 

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中心位、チェックバイトを記録します。

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患者様の坪坂さん、一番前の席で興味深く見ています。 

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中心位、中心咬合位のズレを確認。

カタカタとやはり落ち着いてないようです。 

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やはりマニュピレーションを間近でご覧頂いたので、先生方も興奮しています。 

稲葉先生のダジャレに、先生方も和やか(^_^) 

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坪坂さん、口が開くようになった事が新鮮だったようで・・・

常に口を開いて確認していらっしゃいますね(^_<)-☆ 

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先生方からの積極的などんな質問にも答えている稲葉先生。

さすがだなぁ・・・

と感心しました!

翌日は、咬合器の調整、そしていよいよ患者様の咬合調整です♪ 

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ということで。

懇親会です!

稲葉歯科医院近く、末広町にあるLallenza.

素敵なイタリアンです。 

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20年間ライブ実習を行って来て初だと思うのですが。

患者様も懇親会に参加いただきました!! 

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「乾杯♪」

沢山勉強した後のお食事、ワインは格別に美味しいですね! 

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お料理もとっても美味しい♪ 

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ワインと一緒に、会話に華が咲きました♪ 

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坪坂さん、

「食事とワインがこんなに美味しいと思ったのは久しぶり」

以前は、口が開かなかったために、常に口が汚れやすかったので食事をして、一度口を拭いてからワインを頂いていたとのこと。

「口が開くようになったら、一度拭かなくてもそのままワインが飲めます!」 

最後にはグラッパも一緒にいただきました。

明日は、またロックしないために、かみ合わせ調整により原因をとります。

楽しみです!!! 

顎関節症とかみ合わせ〜その2〜に続きます♪

 

2017年3月19日

こんにちは。

稲葉歯科医院、院長稲葉由里子です♪

3月19日『顎関節症の臨床と治療』セミナーが開催され、全国から沢山の先生方にお集りいただき、海外からも歯科技工士の先生が受講してくださいましたので、ご報告させていただきたいと思います。

咬合(かみ合わせ)と顎関節は関係がないという風潮がありましたが、昨今その考えが見直されるようになってきました。

ジルコニア、CAD/CAM補綴、インプラント補綴において、顎関節を考えないわけにはいきません。
これからは、顎関節を知っているか知らないかで、歯科医師、歯科技工士も2極化するといっても過言ではないでしょう。


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世界で最初の顎関節のスプリントは、コステンのワインのコルクで作られたスプリントです。

5ミリ程の厚さに切ったコルクを臼歯に使いました。

否定はされていますが、関節を下にさげるという、コステンのアイデアは素晴らしいと思います。

◆咬合を念頭においた顎関節症に対する考え方の変遷

●1930年代のCosten Syndromeは低位咬合による顆頭偏移が難聴をはじめとするさまざまな症状を引き起こし、その治療法として咬合拳上が有効であるという考え方が受け入れられました。

●Schuylerをはじめとして、ただ画一的に咬合拳上するのではなく下顎運動時の影響を重視し、昨日的に咬合を考える人もいました。

●咬合を単に器械的にとらえるだけでなく、顎機能あるいは歯周病との関係を重視した生理的咬合の考え方を主張する術式は、Ramfjord,Posselt,Krogh Poulsen,石原などの傑出した学者を生みました。

●1970年代に入ってLaskinの影響を受け、咬合が軽視され、筋機能障害が重要視されましたが、Farraerは臼歯部の咬合支持の欠如が関節円板障害の原因として重要であることを強調しました。

●1970年代から80年代にはWeinberg,Gerberは顆頭偏位と咬合異常に関するX線的研究が発表され、クリッキングやロッキング症状として現れる顎関節内障が注目を集めるようになりました。

●1980年代は顎関節内障全盛となり、CT、MRIを使った診断技術が向上しました。

●1990年代になってふたたび咬合異常が軽視され、疼痛を重要視するようになりました。これに対し、日本、ヨーロッパでは顎機能障害の病因として咬合異常を重視する考えで、確実に診断方法が進歩しています。

顎関節治療は先代達が築き上げて来た、こうした長い歴史があります。


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その中でも、Niles F.Guichet、(ギシェー)は稲葉先生が崇拝する先生です。

ギシェーは、1957年Arne Lauritzenより咬合に関する疾患と治療法について学びました。その後Charles E.Stuartの門をたたき、咬合について特に顎運動の精巧さと顎運動が咬合面に与える影響について深く学ぶことになります。

時を同じくして、John Woehler,L.D.Pankeyに影響を受け、歯科治療を見極める目を教えられました。
その他D'Amico,Earl Pound,Peter Neff,Parker Mahan,P.K.Thomasら多くの方々の影響を受けました。
そのためこれらの人の考えをまとめ、Guichetの理論を作り上げました。

その結果、

1.咬合の各学派の考え方をうまく取り入れた理論です。
2.常に実践的です。
3.咬合理論の統合と普及を行いました。
4.咬合病の考え方を発表し、咬合と姿勢、筋骨格系との関連をさせたこと、X線診断を関連付ける業績を残しています。

Dener Mark Ⅱ・D4H・D4A・D5Aの開発者でもあります。


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現在否定されている、ナソロジーの誤解は、

・中心位は生涯普遍のもの

・RUM のポジション

・機械論的であること

・全顎をすべて修復すること

ということがあったと思いますが、これらは、ナソロジーのほんの一部です。

ナソロジーは歯科医師、歯科技工士であるなら1度は勉強する必要があると思います。

現在もアメリカでは、

AES 〜 Leaders in Occlusion,TMD,Comprehensive Oral Care〜

という1955年に設立された学会が引き継がれています。

この学会は、スチュアート先生、ギシェー先生、そして稲葉繁先生もメンバーでした。

AES is the leading organization of dental professionals advancing the science and clinical application of knowledge in Occlusion, TMD and Comprehensive Oral Care for the well being of those we serve.

というように、AESは、咬合と顎関節との密接な関わりを前提としている学会という事がわかります。

学会発表の内容を見てみると、ほとんどが咬合と顎関節の内容だったので、驚きと同時に嬉しく思いました。

ぜひ、次回の学会に参加することができればと思います。


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また、今回のセミナーは内容盛り沢山だったので、こちらの論文はサラッとしか触れることができませんでしたが、稲葉先生がドイツへ留学することになった大きなきっかけとなった論文です。

チュービンゲン大学の口腔外科、シュルテ教授の論文で、大変衝撃を受けたと言います。
素晴らしい内容で、シュルテ教授の講義を受けたくて、チュービンゲン大学に留学した、稲葉先生。

朝8時から夜の9時まで毎日2週間、顎関節症のレクチャーを受けました。

顎口腔系の機能障害(Funktionstoerungen)の診断と治療で高名なTuebingen大学のProf.Schulteは、442名の治癒例を詳細に分析し、独特な診断・治療法を確立しました。

稲葉先生はシュルテ教授のシステム化された治療方針に従い、治療を行い効果をあげています。

1例をあげると、患者の主疼痛側が右側にあり、下顎の側方への偏位が右側に存在する場合、上記のシェーマを選択します。

この場合の疼痛の原因としては、右側の運動に作用する筋の過緊張があり、早期接触および滑走右側に向かう、また就寝時の体位と主咀嚼側かどちらを質問します。

最大開口位で顎関節のレントゲンを撮影してみると、右側は前方に移動せず、左側は、前方に滑走しているはずです。

口腔内の観察では、このような患者では、右側においては、 

  1. 上顎の智歯の挺出
  2. 下顎智歯の慢性炎症
  3. 側切歯から第一大臼歯にかけての偏心咬合とそれにともなう咬耗面がある
  4. 咬合支持を失っており、左側への偏心咬合がある
左側においては、
  1. 下顎智歯の挺出
  2. 上下顎大臼歯部の早期接触が認められる
  3. 義歯の沈下等の咬合不均衡がある 
筋の触診では右側の顎二復筋後腹、咬筋、および側頭筋の疼痛、左側の外側翼突筋、側頭筋の疼痛が認めらます。
以上のような診断をした結果90%の人がNo.1~No.5までのシェーマに入り、これをもとに治療法の決定を行います。
治療法は主に4つの段階を踏むが、第一段階である理学療法や咬合調整で2週間程度で治癒に向かい、20%の人は2ヶ月以上を要し、11.2%の人は、他の原因であったと述べています。

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もし右側に痛みを訴えたならば、さらに最大開口していただき、下顎の側方偏位の方向を調べてみます。

右側に偏位が認められた場合は、上記の図に示した状態が認められる事が多いはずです。

多くの場合、顎関節のX線写真では、最大開口位で右側はほとんど位置の異常は認められないか、あるいはわずかに後方にあり、左側は顆頭が前方に位置しています。

口腔内を観察してみると、右側では下顎の智歯が欠損し、上顎の智歯が挺出しています。

左側に目を移してみると、下顎智歯の挺出があり、下顎の前方運動を妨げています。

大臼歯部の咬頭干渉や、不正なテコ現象、早期接触、不正咬合や義歯の異常な咬耗が認められることが多くあります。

このような場合、筋の触診にいては、右側では咬筋、側頭筋、顎二腹筋後腹、後頸筋群に、左側では側頭筋および外側翼突筋に圧痛が認められることが多いです。

以上のように、

主疼痛側が右側にあり、開口時の右側への偏位が認められる場合にかなり当てはまる事が多いのですが、同様の症状は主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が右側にある場合も認められます。


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これとは逆に、主疼痛側が左側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合や、主疼痛側が右側にあり、下顎の偏位が左側に認められる場合は、前記の状態とは正反対になります。

この内容を知るだけでも、今回のセミナーの価値があったと思うので、どうぞ見直してみて、患者様の顎の状態と見比べていただくことができればと思います!!


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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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