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2016年7月 1日

▼コーヌスクローネ技工のご紹介

コーヌスクローネを応用した補綴物が1980年代に一部の臨床家の中で広まりましたが、10年間ほどで下火になってしまいました。

色々なトラブルが生じてしまい、その評価を落としてしまったためです。

トラブルの原因はパーシャルデンチャーの設計の問題を始め、製作方法、使用金属、適応症等が統一されていなかったためだと思われます。

補綴物が長期間にわたり正常に機能し、口腔内にとどまるには正しい臨床操作と技工操作が行われて初めて達成されます。

コーヌステレスコープの場合、内冠製作から外冠製作、患者様への装着が正しい方法で行われていたかどうかが非常に重要であり、よい維持力が発揮されるのは、正しい方法で正確にコーヌス角度が与えられ、コーヌスクローネに適した金属で製作されたかどうかによります。

現在、最も問題とされているのは、維持力に関する事であり、維持力が強すぎる場合、あるいは弱すぎる場合にどのように対処するか、また、維持力調整の前提として正しくコーヌスクローネが製作されたかどうかが重要です。

コーヌスクローネのような形をしていても、実はコーヌスクローネではない場合も多くみられます。

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コーヌスクローネはその特徴を発揮するためには、精密に製作し、大変難しい技術です。

当技工所では、本場ドイツにてコーヌスクローネを直接学んできた、顧問の稲葉繁先生より正しい製作法の指導を受けおります。

また、先生方におかれましても、IPSGスタディーグループにて正しい製作法を身につけていただき、コーヌス理論を熟知していただくことをおすすめいたします。

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コーヌスクローネ製作に不可欠な機器も当技工所には取り揃えてあります。

フリーハンドで研磨を行うと、角度が変化したり軸壁に丸みを帯びてしまいます。

そこで、横型研磨機を用い器械研磨を行うと、維持力を常に一定に保つことができ、不安定な内冠の軸面の仕上げを取り除くことが可能となります。

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コーヌスクローネの維持力を確実に発揮させるためには、コーヌス角度6度をいかに正確に形成するかが重要なポイントとなります。

「コーヌスクローネの生命は内冠にあり」

といっても過言ではありません。

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コーヌスクローネの問題点として、ネガティブヴィンケルの問題があります。

平行性の問題で、前歯の歯頸部の部分に金属面がでてしまい審美性に問題があるようなケースです。

しかし、これらの問題を解決するために、ドイツの技工マイスターH.Pfannenstiel,R.Plaum,機械工学マイスターH.Breitfeldらによってコナトアが解決されました。

ドイツのラボには必ずあるコナトア、日本ではまだまだ普及していませんが、コーヌスクローネなどの全顎技工には必須のアイテムとなります。

模型台の傾斜を6度の範囲で自由に調整できる台であり、ドイツのラボにおいて、出来る限り少ない器具で、短時間に補綴物を製作しなければならない必要から生まれました。

6度の測定杆、6度のワックスシェーバー、6度の金属用カーバイトバーの三種のインストルメントを使用することでコーヌスクローネの内冠に均一な厚みを得られ、ネガティブヴィンケルの少ない正確なものが製作出来、大幅に作業能率が上昇します。

装着方向に対して平行性を失わなければ、6度の範囲で自由にコナトアを操作し、支台歯の最も適正な内冠の形成ができるのがコナトアの特徴といえます。

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内冠の試適に際しては、適合性はもちろんのこと、内冠の位置関係を正しく外冠用模型に再現する必要があります。

この方法としてオクルーザルコアがあります。

これは、外冠製作時の支台歯間の位置づけ、義歯のフレームとの位置関係、補綴物の一体化の際に使う大変大事なものとなります。

こちらに関して、内冠製作時、ラボで製作をさせていただきます。

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ユージノールペーストでオクルーザルコアを固定し、外冠および義歯部のための印象採得を行います。

内冠と外冠は別々にセットするのではなく、同時にセットするのが本場ドイツのコーヌスクローネです。

これら一連の作業を、チェアーサイド、ラボサイドでお互いをチェックし合いながら連携する事で、安定した維持力を得られ、患者様の喜びへと繋がります。

初めてコーヌスクローネに挑戦する先生もいらっしゃると思います。

チェアーサイドではどのように作業をすすめていけばよいか、わかりやすくアドバイスさせていただくので、どうぞご安心ください。

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ドイツでは、コーヌスの支台歯には原則として生活歯を使わなければならないということでしたが、日本においては、支台歯を抜髄することで、歯根破折を起こし、トラブルの原因となるケースも多くみられます。

正しい方法で行われたコーヌスクローネは、多くの症例で30年以上の経過を保っています。

ぜひ、挑戦していただきたいと思います。


▼コーヌスクローネを学びたい先生方へ

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■書籍
当時、稲葉先生が出版した『正統派コーヌスクローネ』が冊子になりました。

オクルーザルコアの使用、コーヌスのミリングマシーン、正しい印象法、セット方法など、詳しく正しい方法で書かれています。
コーヌスクローネの基本的な設計は、すべてのパーシャルデンチャーに応用することができます。

他では入手することができない一冊、ぜひお手に取って頂けたら幸いです。

書載の詳細はこちらから→











2016年6月30日

▼ レジリエンツテレスコープ技工のご紹介

超高齢社会を迎えた現在において、インプラント治療に不安を持たれる患者様も少なくありません。

特に、少数歯残存ケースにおいてご自身の歯を利用するレジリエンツテレスコープの需要は高まるばかりです。

ドイツチュービンゲン大学で開発されたレジリエンツテレスコープは、チュービンガーデックプロテーゼと呼ばれる、粘膜で支える義歯のため、歯根膜の感覚を残す事ができます。

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インプラントでは難しい、骨の量が少ないケースであっても問題なく治療を行う事ができます。

自由に口元を作る事ができ、審美的にも美しく機能的にも優れていることから、当技工所が得意とする義歯です。

少ない本数だからこそできること。

それは口元を自由に作れる事です。

歯を失い、骨が吸収して口元がへこんだ部位を、床により内側から膨らましボリュームをだすことができるのも特徴です。

人工歯はIvoclar 社のオーソシット、フォナレスなどを取り揃えております。

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レジリエンツテレスコープとは、内冠の歯茎部はショルダーないしステップのないもので、これを残存歯にセメント合着します。

外冠は内冠の咬合面側との間に0.3~0.5mmの緩衝腔を確保して義歯床に固定します。

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義歯に咬合圧が加わった時、その荷重のほとんどは顎堤が負担する様なしくみとなっています。

咬合圧から解放されたときには、圧縮された顎堤粘膜がもとの状態に復元し、内外冠の間に再び緩衝腔が生じます。

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重合方法は、PVPM、イボカップシステムなど世界水準の非常に高い技術で薄くても頑丈、強度と美しさを兼ね備えた方法を取り入れております。

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レジリエンツテレスコープは、SprengおよびGraberが開発した緩衝型テレスコープをチュービンゲン大学のM.Hofmannによって改良が加えられ、1966年に発表された技術です。

レジリエンツテレスコープによる補綴を行った症例について、追跡調査もすでに報告され(LehmannおよびKoerber)、予後が非常に良好であることが証明されています。

その結果は合計100症例以上における術後8年を経過した時点での調査では、その40%に残存歯の安定性が認められ、残存歯の動揺が増した症例は35% だったといいます。

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当技工所顧問の稲葉繁先生がドイツからこの技術を日本に紹介し、すでに30年以上患者様の口の中で機能している症例が多数あることからも、長期間使って頂く事ができる非常に優れた技術である事が証明されているといえるでしょう。

レジリエンツテレスコープの製作過程においても、現在ページ制作中です。

先生方のチェアーサイドのお仕事がスムーズ運ぶように、ラボサイドではどのような技工をしているのか共有していきたいと思います。



入れ歯先進国ドイツで開発されたリーゲルテレスコープ。

当院顧問の稲葉繁先生が客員教授としてチュービンゲン大学に留学をした際に、ケルバー教授から直接学んだ方法です。

当時、リーゲルテレスコープの複雑な技工をすべて覚え、日本に持ち帰り、技工士に伝えました。

▼テレスコープシステムの歴史

テレスコープシステムは1880年にR.W.Starrによってブリッジの支台装置として用いられています。その後、1889年にPeesoによってテレスコープを使用したブリッジや、スプリットピン・アンド・チューブアタッチメントを使用した可撤性ブリッジが考案されているので、現在までテレスコープシステムの歴史は、130年になろうとしています。

その間多くの先駆者達によって、より良い補綴法を追究して各種の維持装置が研究開発されてきました。

現在のようなテレスコープシステムによる維持方法は1929年HaeuplとReichborn-kjennerudにより発表されました。

▼リーゲルテレスコープの歴史

リーゲルテレスコープは1948年、Tuebingen大学のDr.Strackと技工マイスターE.Schlaichによって、考案。

その後Dr.Strackの助手をしていたE.Koerber, M.Hofmannによって改良が加えられました。

現在用いられているリーゲルテレスコープは回転リーゲルと旋回リーゲルとがあります。

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テレスコープシステムの中でも特にドイツ的で精密さが要求され、マイスター試験に必ず出題されるリーゲルテレスコープのご紹介をさせていただきたいと思います。

回転リーゲルに使用する道具が手に入らないため旋回リーゲルが国内では主となっています。

リーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ)のことであり、これを維持装置として用いています。

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リーゲルテレスコープを構成する内冠です。

ご覧の通り、内冠で一次固定を行います。

方向性もありますので、2ブロックに分けることもできます。

失活歯が多い症例、また歯周病が進んでいる症例において、一次固定を行う事により、全体で支え、1本1本の負担を分散させることができます。

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2次固定として、リーゲルの外冠をリーゲルレバーでしっかりと固定します。

着脱は患者様自身が行いますが、旋回リーゲルに爪の先を引っかけ、レバーを回すと何ら抵抗なく義歯を外すことができます。

口蓋にシュパルテ床をつけることで、より強固となります。

このシュパルテの形は、ほとんどの患者様に違和感なくお使えいただけるすぐれた床です。

左右のひずみを、口蓋で吸収し反対側にゆがみを発生させないようなしくみとなっております。

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片側遊離端症例。

一般に日本ではコーヌスクローネを使用する事が殆どでしたが、コーヌスクローネの場合にはその性格状一次固定であり、支台歯は連結する事はなく離れているため様々なトラブルに遭遇します。

その代表的なトラブルは歯根破折です。

この原因は歯根膜の沈み込みと粘膜の沈み込みの量の違いによるもので、遊離離義歯では必ず沈み込みがあります。

例えば、第2小臼歯、第1、第2大臼歯の3歯欠損の場合に義歯の最遠端の沈み込みは咬合時に0.35ミリ(350ミクロン)程度の沈み込みがあると、元エアランゲン大学のM.Hofmann教授は述べています。(テレスコープシステムで治療した場合の沈み込みです)

このような現象はコーヌスクローネの場合、支台歯が離れている場合には第1小臼歯のみに負荷が掛かるため、歯根破折などのトラブルに遭遇します。

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従って、支台歯を一次固定できるリーゲルテレスコープが適しています。

2歯欠損の場合には支台歯として、第1小臼歯、第2小臼歯を支台歯として使い、さらに遠心にシュレーダーゲシーベ(Schroeder geschiebe)というアタッチメントをつける事により、義歯に加わる咬合力に対し、支点を遠心に移行させ、沈み込みを防止する事ができます。

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リーゲルテレスコープは、細やかな技工操作を必要としているため、熟練した技工技術が必要となります。

Weber dental laborでは、IPSGのテレスコープ実習を受講してくださった先生方のサポートをさせていただきたいと思います。

受講したけれど、いざはじめようとしても手順がわからない。

設計が果たして正しいのかどうか不安。

という先生方がスムーズに診療を進めていけるように、細かなアドバイスもさせていただきますのでどうぞご安心ください。

ご質問なども承りますので、遠慮なくお問い合わせください。





2016年6月27日

こんにちは。

稲葉歯科医院、院長稲葉由里子です。

2016年6月25日 〜ヨーロッパの総義歯の源流を学ぶ〜『総義歯の基礎と臨床』が開催されましたので、ご報告させていただきたいと思います。

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今回も全国から沢山の歯科医師、歯科技工士の先生方にお集りいただきました。

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稲葉先生は、チュービンゲン大学のシュトラック教授が開発したシュトラックデンチャーを原型とした上下顎同時印象法による総義歯をはじめて20年以上になりますが、現在迄大変良い結果を得ています。

私達は、人工臓器として噛むという人間のもとになるものを作らなければなりません。

一旦歯を失って、味わいのない流動食になってしまったら、人生の楽しみがありません。

総入れ歯によって、食事を噛む喜びを再び取り戻し、他人とのコミュニケーションをはかることができるというのは、人生においてお金に換えられない価値があります。

「総入れ歯は人間の英知を結集したもの」

残念ながら健康保険は、あまりにも安い評価なので満足いくものを作る事ができませんが、患者様の中には、その価値を十分に理解してくださり、私達の技術に託してくださる方が沢山いらっしゃいます。

そのような価値を改めて考えて、私達は質の高い総入れ歯を提供する技術を身につける必要があります。

「私は半世紀もの臨床経験があります。総義歯のこれまでの歴史について私にしか伝えられない事が沢山ありますので、ぜひ皆様にお伝えしたいと思います。」

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日本の総義歯の技術は実は非常に古く、1583年に作られています。

当時としては長寿の74歳で往生した紀伊・和歌山の願成寺の草創者・仏姫の拓殖の木から作った木床義歯です。

当時は現在のように優れた印象材や模型材もなく、咬合器もない時代に、適合性に優れ、噛める義歯を作ることができたものであると、感心してしまいます。

当時の義歯の製作方法を調べてみると、非常に合理的であり、仏教芸術の伝統を受け継いでいることがうかがえます。

その製作法の鍵は、蜜蠟を使った印象採得と咬合採得を同時に行うことです。

これは蜜蠟を鍋で温め、それを一塊として患者さんの口腔内に入れ、咬合位を決定した後に口腔内の形を採得するというものです。
一塊にしたものを上下顎に分けたのであるから、正確な咬合位の再現が可能になるのは当然です。

稲葉先生は日本の歴史から総義歯を学び、上下顎同時印象ができる方法がないかずっと模索していました。

そしてガンタイプの印象材が開発されたのを機に、最終印象を上下顎同時印象をする方法を開発します。

稲葉先生の総義歯は、世界最古の木床義歯による上下同時印象、そして化石の原理が原点です。

化石は一つのものを二つに割っても、必ずもとに戻ります。

総義歯も一緒でひとつの印象を咬合器上で、ふたつに分け、最後に戻すという考えです。

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上下顎同時印象法を行って、総義歯を製作するシステムの利点はつぎの通りです。

・咬合採得、ゴシックアーチの描記、フェイスボートランスファー、上下顎同時印象をわずか1回で行うため、合理的であると同時に来院回数の減少が図れる。

・咬合採得した位置で最終印象を行うため、顎位の誤差を生じない。

・印象採得中に嚥下を行わせるため、口腔周囲筋の印象採得が可能である。

・最終印象をフェイスボートランスファーし、咬合器に付着できる。

・印象面に口腔周囲筋、口唇、舌の形態を再現することができる。

・ニュートラルゾーンに人工歯を排列できる。

・サブリンガルルームを利用することにより舌による良好な維持が期待できる。

床を後舌骨筋窩まで延長する必要がなく、舌の動きを阻害することがない。

・イボカップシステムの応用により重合収縮を補正し、適合が良好なため、ウォーターフィルム減少を得ることができ、維持がよい。

・顎堤が極度に吸収している症例でも、頬筋、口唇、舌の維持ができる。

さらにこのシステムを応用し、オーラルディスキネジアや、脳卒中後の麻痺のある患者さんに対してよい成績を上げている他、顎関節症を伴う総義歯患者においてもよい成績をあげています。

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近代総義歯学の基礎を築いた、スイスの歯科医師のAlfred Gysi(アルフレッド・ギージー)の歴史をたどりました。

Gysiはカンペル氏の平面のコンセプトを作ったり、 シンプレックス咬合器、トゥルバイト人工歯の開発など、沢山の業績を残しています。

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ギージーは様々な咬合器を開発しました。

シンプレックスの咬合器、ハノーの咬合器、ニューシンプレックス咬合器や、Trubyteの咬合器、それぞれ、すべてフェイスボートランスファートランスファーをしています。

そして、人工歯の大きさは、顔の大きさの16分の1という基準も、100年経った今でも使われています。

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左上の図は、Condail顎関節顆頭と Incisal前歯がうまく協調がとれて、大臼歯と小臼歯の咬頭傾斜角が噛み合う。

という歯車に例えた有名な図だそうです。

右上の図では矢状顆路角の平均値、33度であることを述べていて、現在でも使われている貴重な内容を図に表した物です。

その他にも歯槽頂間線法則について、骨の吸収が進行していくと、咬合平面と歯槽頂間線のなす角度が80°以下になり、交叉咬合排列にするという説明の図が右下にあります。

これが、ギージーの義歯の弱点とも言えます。と稲葉先生。

ギージーの排列では、頬筋のサポートが完全に得られない他、食渣が頬側に入りやすく、常に食物が停滞した状態になります。

今回も、ギージーの歴史を辿ることで、本当に沢山の知識を確認することができました。

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1949年ドイツ、チュービンゲン大学のシュトラック教授は、それまでのギージーによる歯槽頂間線法則を否定し、口腔周囲筋による安定を求めました。

歯列に対し、口腔周囲筋・唇・舌の力の均衡がとれるところに、即ち、もと有ったところ『ニュートラルゾーン』に歯を並べると共に、頬筋・唇・舌により義歯を安定させる方法を開発し、さらに顎機能に調和した人工歯を開発し特許を取得しました。

現在使われている、オルソシットがそれです。

最初は陶器で有名なフュッチェンロイター社の陶器でしたが、イボクラー社のコンポジットの人工歯となりました。

歯槽骨がないような顎堤でも、維持を発揮でき、排列も自由に行うことができます。

上の図は、シュトラックがオルソシットの特許を取った時の貴重な写真です。

詳細な顎運動を計測し、ピラミッドの重なりを歯の咬頭とし、特許を取得した図もあります。

シュトラック教授は、チュービンゲン大学のケルバー教授の前の教授で、シュライヒ先生は非常に尊敬している教授でした。

1978年、稲葉先生は、たまたま、シュトラック教授の話を当時、Ivoclar社補綴研修部長で総義歯の講師をしていた、シュライヒ先生に話したことで、交流を持つきっかけとなったと言います。

このように、稲葉先生の『上下顎同時印象法による総義歯』には歴史的背景があります。

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1978年ドイツ、チュービンゲン大学の客員教授として留学をしていた際、IVOCLAR社主催の総義歯のセミナーを受講しました。 その時の補綴研修部長が、Dr.Hans Shleichです。

大変な衝撃を受けたと言います。
日本の教育の総義歯とは全く違う方法で行われていました。

その時IVOCLARでみた方法は、スタディーモデルを上下顎同時印象でアルギン印象で行っていました。

稲葉先生は、それ以来、これをどうにか、上下同時に最終印象で、そしてシリコン印象で行いたいと、ずっと考えていました。

そして、20年前稲葉先生が代表を務めるIPSG発足を機会に、Dr.Hans Shleichを招き、IPSG発足記念講演を開催しました。

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こちらがその当時の写真です。

IPSG発足して、21年なので、ちょうど21年前の写真ということになります。
(左上のモノクロの写真には、わたしも写っています・・・
日本歯科大学の講堂で開催された、とても懐かしい写真です。)

それから間もなく、稲葉先生は、ガンタイプのシリコン印象材が開発されたのを機に、最終印象を上下顎同時印象で取る方法を開発し、発表しました。

日本の総義歯は残念ながら遅れています。
現在の排列もギージーの方法のままです。

上下顎同時印象法は、特殊なものなので、大学の教育に取り入れられることはありません。

エビデンスがあっても、国家試験には結びつかないので、大学ではなかなか取り入れられるのが難しいテクニックなのだと思います。

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〜シュライヒ先生について、Dr.Hans Schleich〜

・1926年ドイツミュンヘンで生まれ、父親はワイン作りのマイスター
・ミュンヘンで歯科技工士の資格を取得し、その後矯正学を勉強ドクターの資格をとる
・リヒテンシュタインのイボクラー社の補綴研修部長となり、イボクラーデンチャーシステムを完成させる
・その後イボクラーデンチャーシステムを広めるために世界各地で講演活動をする
・ブラジル、サンパウロ大学から名誉博士の称号を受ける
・1994年イボクラー社を退職。

〜シュライヒ先生の功績〜
・ヨーロッパの多くのプロフェッサーの業績を義歯の製作というテーマでシステム化し、イボクラーデンチャーシステムを作り上げた。
・即ち、印象はミュンスター大学マルクスコルス教授の上下同時印象用トレーであるイボトレー
・咬合器はデュッセルドルフ大学のベトガー教授のナソマート咬合器のシステム
・ゴシックアーチ描記はポーランドワルシャワ大学のクラインロック教授の描記法、ナソメーター
・人工歯はチュービンゲン大学のシュトラック教授のオルソシット等を取り入れ、さらに印象材、カップバイブレーター、トレーレジン、イボカップシステムを開発し、総義歯製作の体系を創り上げた人

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Dr.Hans Shleichが、今のBPSシステムのインストラクターの大元だったことは、あまり知られていません。

シュライヒ先生は、引退するとき、すべての資料、スライドを稲葉先生に託しました。

世界中に広めてほしいと。 

シュトラックデンチャーを絶やさないでほしいと。

シュトラックデンチャーにおける、排列、重合、上下顎同時印象法に関する細やかなテクニックは、IPSG副会長、岩田光司先生からお話をいただきました。

稲葉歯科医院、小西浩介先生レポートの予定です(^_<)-☆

総入れ歯の歴史を、年代ごとにこんなに語れる先生は稲葉先生、そして故岡部宏昭先生だけだと思います。

ずっとずっと聞いていたい程、素晴らしい歴史を知る事ができました。


2016年6月14日

6月11日、12日に顎咬合学会学術大会が東京国際フォーラムで開催されました。

今年もカボデンタルシステムズジャパン共催によるランチョンセミナーにおいて、稲葉繁先生が1時間講演をさせていただきました。

「カボシステムを応用した究極の総義歯〜難症例への対応〜」

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今年も、400名分のチケットはすぐに売り切れてしまい、お弁当がなくとも聞きにいらっしゃる方など、全国から沢山の先生方にお集りいただきました。

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「顎の骨が吸収していたり、顎の位置を決めたりということは、私にとって、そんなに難かしくありません。」

と稲葉先生。

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「それよりも、私が経験してきた中で大変難しいと感じたのは、オーラルディスキネジア、脳梗塞などで片側性の麻痺がある方、小児麻痺による不随運動、顎関節症により関節円板に穴があき痛みを伴うケースなどです。」

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オーラルディスキネジアは、パーキンソン病の治療薬の副作用などで発症し、不随意運動(無意識におきてしまう運動)を伴います。

症状としては、無意識に口をもぐもぐと動かして咀嚼しているような動作をしたり、舌を出したり引っ込めたりしたり、唇を吸引したりなめ回したりすします。

まさに、総義歯の難症例とも言えますが、上下顎同時印象法により解決することができます。

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このような症例では、吸着のよい入れ歯の製作を心がけるとともに、舌で外そうとしてもどこにもひっかからないよう、舌側の形態に注意することが大切です。

そのために上下顎同時に型採りを行ない、口の周りの筋肉の動きや舌の運動の記録を取り、不随意運動を行っても邪魔にならないような形態にします。

特にサブリンガルルーム、舌側を十分に延ばし、舌が床の下まで潜り込まないような形態にし、舌の圧力が加わっても入れ歯が動揺しないように、人工歯のまた、舌を前に出すと、顎舌骨筋が挙上し、入れ歯を浮かせてしまうので、後ろの部分は短くする必要もあります。

そのためには、口の中の正確な情報を再現できる上下顎同時に型採りする方法が優れています。

舌側は、舌が突出しても入れ歯の表面を滑ってしまう形にします。

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右側の顎に痛みがあり、お口を開けると左側にずれて、真っすぐに開けられなかったケースも上下顎同時印象法により解決できた症例です。

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入れ歯は右側に比べて左側の歯が異常にすり減っていました。

顎関節のレントゲン写真をみると、左側の関節円板が落ちており、顎関節症と診断できました。

上下顎同時に型を取り、KAVOProtar咬合器のPDRInsertを用い、下顎頭を下方に下げて顎がスムーズに動くように調整。

顎機能咬合解析システムCADIACSを使い、右の顎が2ミリ下がっていることを確認して入れ歯を完成させました。

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小児麻痺で不随運動を伴う患者様。

常に口元を動かすため、総入れ歯にとっては非常に難症例となります。

それでも、シュトラックデンチャーで噛み合わせを決め、最後、装着まで治療することができました。

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このような、難症例もKaVoのプロター咬合器を用い、上下顎同時印象を行う事で対応することができます。

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長い総義歯の歴史の中で、多くの人が様々な術式を考えてきました。

それは、デンチャースペースをどのように再現するか、あるいは、もともとあった歯の位置はどこであるかを捜し求めてきたものです。

頭の骨は様々な関節によって結合されています。

歯の噛み合わせも結節であるといえるため、別々に作って適合させるよりも、一体となったものを2つに分ける方がより合理的であり正確です。

その点、上下顎同時に型採りし、一体化した情報を咬合器に送り、上下顎の入れ歯を作り、それを合体させたほうがよい結果を得ることができるはずです。

上下顎同時に型採りする方法は、単純で誤差の少ない確実な方法です。

また、このシステムの特徴は、入れ歯によって顎関節を守ることも可能なことから、顎関節症の治療にも有効です。

このシステムにより、噛むことに多くの不自由を感じている患者様、また在宅要介護高齢者、脳血管障害の後遺症により麻痺のある患者様にも応用され、福音が得られることを望んでいます。

稲葉歯科医院、難症例治療症例に関してはこちらをご覧下さい。

総入れ歯専門サイト


2016年4月13日

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『顎関節症ライブ実習コース』〜その3〜は、患者様治療後の考察です♪

IPSG副会長、岩田光司先生の講義、まとめをお伝えいたします。

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顎関節症の治療において、大変重要な知識は、中心位Centric Relationが確実に採れる事、そして目で確認することができない顎関節の中で、どのような状態にあるのかを想像できることも大切です。

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中心位とは。

・垂直顎間距離に関係なく、顆頭が関節窩内の最後方で緊張しない状態で位置し、そこから偏心運動が自由に行える。

・適切な垂直顎間距離において、上顎に対し下顎が取りうる最後方の位置

・正常な垂直顎間距離において、顆頭が関節窩内の最後方に位置する時の上顎に対する下顎の位置

・顎関節の関節窩の中で顆頭が関節円板に乗って、機能する範囲の最も後方、最も上方左右の真ん中でそこから自由に側方運動できる顎位

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向かって左の写真は関節円板に密着して顆頭が動いている理想的な様子です。

右側は、顆頭が下がってしまったために、圧がかからず上下関節腔が開いてしまっている状態です。

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Dr.Dowsonによる、中心位採得の様子です。

稲葉先生は、直接Dowson先生の実習も受講しました。

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現在の稲葉先生をはじめ、私達が行っている中心位採得方法はこのように、親指と人差し指を使い、軽く顎を押し上げるような感じで、オーストリアのシュラビチェック先生と同様の採り方をしています。

この採り方の利点は、片手が開く事。

中心位のバイトがスムーズに記録できます。

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患者様の筋症状は、咀嚼筋の他に僧帽筋にも痛みを感じていらっしゃいました。

特に腰痛と肩こりに悩まされていたようです。

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治療前の、EPAとポッセルトのサジタル(矢状断面)とフロンタル(正面)の記録です。

全体的に動きが小さい事がわかります。

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患者様の口腔内の様子は、補綴物もなく、大変良好な状態です。

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咬合診断にて、中心位(CO)と中心咬合位(CR)のズレを確認することができました。

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当初、右側の7番遠心に水平埋伏智歯があったため、右側の干渉が疑われましたが、診断してみると、左側にも干渉があることがわかりました。

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リテイナー装着時のDIGMAの記録です。

ポッセルトのフロンタルが大きく動いている事がわかります。

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術後の様子です。

EPAテストでは、COとCRの一致に加え、全体的に動きが大きくスムーズに変化しました。

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詳しく見てみます。

術前、術後の開閉口では、約2センチほどの差ががあります。

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開閉運動において、顎の動きが全く変わりました。

スムーズに関節結節を乗り越えている事がわかりますね。

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ゴシックアーチの記録においては、術前のフラフラとした小さな動きから、術後はほぼ一直線の大きな動きに変化しました。

素晴らしい変化だと思います!!

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顎関節の音が、あきらかにパチンとかカクッという音があれば、クリック音をとるのは比較的簡単ですが、ゴリゴリといった雑音をとるのは、かなり難しいケースだったと思います。

ひとつひとつ丁寧に診断をすることの大切さを学びました。

右側に雑音がわずかに残っていましたが、翌日患者様からご連絡いただいた内容をご紹介させていただきます(^_<)-☆

『週末は本当にお世話になりました。家に帰ってから、主人に見た目に変化があったことを言われましたが、何よりも体調に変化があったように思います。

顎に関しては、やや違和感が残ります。
理由は、術前、自分が感じていたよりも上にある感覚があるためです。
それは好ましい感覚ですが、一応ご報告いたします。
開閉は非常にスムーズです。
雑音が残ったとご報告しておりますが、開閉時、毎回鳴っていたものが、鳴る時もあるに変化し
正直びっくりしています。

昨夜はやや早く眠くなり、そのまま就寝しました。
そのせいもあってか、気になっていた首の後ろ側の凝った感じがないです。
首周りの温かい感覚も継続しております。

腰痛なども軽減しているようには思います。』

ということです♪

治療直後に現れていた、小さな雑音は、開閉時、毎回鳴っていたものが、鳴る時もある・・・

という状態に変化しているとのことです。

治療後、患者様が少し涙ぐむぐらいでしたので、今まで本当に辛い思いをされてきたのだなと感じました。

顎関節症で悩まれている方は、本当に大変な状態なのだなと思いましたし、それを見つけられ、また治療をすることができるのは、歯科医師、歯科技工士であることも再認識しました。

先生方から感想もいただきましたので、一部ご紹介させていただきます☆

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。

▼歯科治療の本意はやはり咬合であるということを改めて再認識しました。顎関節の治療がここまで科学的に順を追って治療できるということがびっくりしました。

▼顎関節の診査診断、治療と流れがわかりやすく、非常に勉強になりました。治療結果がすぐに出たので驚きでした。こういう診療がしたいと目標になりました。

▼初めて顎関節症の治療を見れて、あらためて咬合診査が大切だと思いました。これから顎関節症を作らない技工物の作製を心がけます。

▼2日間のIPSG実習コースでしたが、非常に楽しく学ばせて頂きました。また宜しくお願い致します。

▼素晴らしい治療を見学できたことはとても勉強になりました。

▼今回患者様が雑音をなんとかしたいというときはどうするのかと思いました。

▼まだわからないことだらけですが、ちょっとずつわかることが増えてきたのでこれからもがんばります。有難うございました。

▼今回の実習で咬合の安定、顎関節の安定がいかに身体に影響を与えるか再認識しました。今までの知識と治す技術がなかったことは歯科医師としてとても恐ろしいことだと思いました。IPSGに入会したこと、稲葉先生に直接教えて頂けることとても感謝しています。

・・・・・・・・・・・・・・・

2日間協力いただいた、患者様、そしてご参加いただいた先生方本当にありがとうございました!!

2016年4月12日

『顎関節症ライブ実習コース』2日目です。

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前日に印象採得した模型を、咬合器に付着し、チェックバイトにて顆路調整を行いました。

その際、右側の矢状顆路角は30度、側方顆路角は10度。

左側の矢状顆路角は30度、側方顆路角はマイナスと出ました。

臼歯の傾斜により顎の角度が消されてしまっている可能性があるため、ランディーンによる側方顆路の平均値、7.5度の平均値に設定し診断を行いました。

(このあたり、なかなか難しいと思います。IPSGで開催される『咬合認定医コース』または、次回開催される『咬合治療の臨床』にて詳しく学んでいただけると思いますので、ぜひご参加ください。)

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「咬合器にマウントする時に、重石を乗せたりゴムで縛ると教わったのですが、どうなのでしょうか?」

との質問に、

「膨張率の低い石膏を使っていますか?咬合器は頑丈なものですか?それを大前提として、咬合器に重石を乗せてはいけません。ぎゅーっと押し付けて、パッと離した時の収縮の方が大きいということを、大学で実験も行いました。従って、押えつけず、そのままにしておく事が大切です。」

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稲葉先生は、KaVo のプロター咬合器の開発にも携わりました。

その時の資料と、開発者のラングさんとのやり取りについても説明がありました。

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さて。

顆路とは側頭骨の関節窩に対して、下顎頭(顆頭)が関節円板を介して、顎が動いていく状態のことを言います。

その中で、下顎が前方に動いていく道を『矢状顆路角』といいます。

側方運動では、平衡側で矢状顆路角の前内下方を通ります。

これを『側方顆路角』といいます。

通常、この矢状顆路角、側方顆路角は咬合平面に対する角度で表し、咬合平面は、カンペル平面(補綴平面)とほぼパラレルであるため、カンペル平面となす角度としてとらえることができます。

ギージーは矢状顆路角は平均33度としています。

側方顆路角は矢状顆路角より、さらに内方を通るため、角度は5度程度急になります。

矢状顆路角と側方顆路角のなす角度をフィッシャー角と呼んでいます。

フィッシャー角は5度です。

さらに、これを水平面に投影した角度をベネット角といいます。

その角度はギージーによれば、13.9度でありますが、ランディーンによれば、下顎の側方運動開始から4ミリのところで、サイドシフトとよばれる動きが現れ、これをイミディエートサイドシフトと呼んでいます。

最初の4ミリを超えると、差がなくなり、その平均値は7.5度で個人差はみられません。

従って、側方顆路角は平均値7.5度で合わせていただければ、ほぼ問題ありません。

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こちらは、Dr.Okesonの顎関節の本から引用し、説明をさせていただきました。

上図は、関節円板が密着して動いている様子。

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そして、下図は、もう少しで関節円板が前方転移をしそうなイメージです。

今回の患者様の顎関節はこのような状態ではないかと推移します。

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顎関節の解剖をよく理解しておくことも大切です。

外側翼突筋のUpper headは、関節円板に停止。

そしてLower headは、下顎頸部に付着しています。

特に外側翼突筋Upper headは、咬合面の形態と密接に関わっています。

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今回は、皆様の熱いご要望に応じて(笑)スプリント製作も実習しました。

スプリントを製作する機械は、ドイツのエルコデント社。

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リラクゼーショナルスプリントで、フルバランスの咬合を作ります。

犬歯誘導型だと、関節を圧迫してしまいます。

特に、関節円板が落ちている患者様に犬歯誘導型のスプリントを装着すると、関節を突き上げてしまい、痛みを発症するため禁忌だと覚えておいていただければと思います。

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スプリントは1ミリのプレートにレジンを一層盛り上げ、たわまないようにし、フルバランスで咬合を作ります。

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スプリントの外形線です。

参考になると思うので、掲載させていただきます♪

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歯頸線に沿わせます。

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上顎はアンダーカットに入ると、外れ難くなるので一部だけ覆います。

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KaVo ARCUS DIGMA2による、顎機能運動の計測、治療前の状態、そして今回はスプリントを入れた状態でも計測を行いました。

そして、治療に入ります。

ここで、稲葉先生、28ミリの開口量だと咬合調整が難しいため、マニュピレーションを行いました。

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関節円板に下頭をより密着させ、痛みなく開口できるようになりました♪

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この時点で、28ミリから、46ミリまで、約2センチ開く事ができるようになりました。

途中から患者様が、

「音が消えました!」

とおっしゃっていました。(正確には少し雑音が残っていましたが、患者様の感覚はだいぶ違うようです。)

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咬合調整に用いる咬合紙はブルーレッドレーダー。

上顎に青、下顎に赤の色がつくようにし、最後に咬合紙がなしのゼロミクロンの状態での咬合調整を行える咬合紙として稲葉先生が愛用しています。

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咬合器で診断した場所と同じ部位を調整。

歯に溝を切る、窩を少し深くすることで、関節円板を密着させました。

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治療終了後のDIGMAです。

明らかに治療前、後のデータが変わりました。

こちらに関しては、『顎関節症ライブ実習コース』〜その3〜の考察でお伝え致します(^_<)-☆

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最後に。

「開閉は非常にスムーズです。私が感じていた、顎の音が取れて、正直びっくりしています。雑音が少し残ってはいますが、私が今迄悩んでいた物とは全く違います。意識せず、口を開くことができたのは、記憶にないぐらい遠い昔です。気になっていた首の後ろ側の凝った感じもなぜか気になりません。顎の周り、首周りが温かい感覚があります。先生方、お忙しい中2日間本当にありがとうございました。」

と嬉しい感想をいただきました。

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治療後、一緒にお弁当を頂きました。

わずかな咬合調整により、患者様の感覚は大きく変わり、顎の周りの筋肉の緊張が取れ、 沢山嬉しい感想をいただき、受講生皆が嬉しく思いました。

やはり、顎関節と咬合は密接に関わっているのですね♪

『顎関節症ライブ実習コース』〜その3〜では、治療前、後のデータを比較したいと思います(^_<)-☆

2016年4月11日

こんにちは。

稲葉歯科医院、院長稲葉由里子です。

4月9日,10日(土,日)『顎関節症ライブ実習コース』が開催されたのでご報告させていただきたいと思います♪

『顎関節症ライブ実習コース』では、実際に顎関節症で困っていらっしゃる患者様をお呼びし、問診から治療まで、すべて先生方の目の前で、デモンストレーションいたします(^_<)-☆

KaVo社のPROTAR evo 7 咬合器、フェイスボー、ARCUSdigma2下顎運動測定器、を用いた咬合診断システム化により、確実な原因を探すことができます。

咬合からのアプローチで顎関節症を治療する実習はIPSGでしか行っていない、非常に貴重なセミナーです。

最近は、顎関節症と咬合は関係がないという風潮があります。

顎関節症は触らない方が良い、咬合調整をしてはいけないと言われています。

しかし、それは学問を止める事。

と稲葉先生は言います。

インレーやクラウン、先生方は日常的に沢山歯を削っています。

顎関節症だけ削ってはいけないと言うのはいかがなものでしょうか。

削ると言っても、ほとんどが修復物、そして天然歯においてはほんのわずかです。

咬合診断を行えば、顎関節症の治療は非常に単純な事が多いです。

1本のインレーでも、4分の1顎のような小さな咬合器ではなく、全顎の咬合器に付着して製作することで、歯科医師、歯科技工士が顎関節症の発症を未然に防ぐこともできます。

IPSGでは20年間、咬合からのアプローチで顎関節症の患者様を治してきました。

ぜひ、2日間じっくり勉強していただきたいと思います。

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今回、患者様としてご協力いただいたのは、私の友人です。

実は、昨年のライブ実習の模様をFacebookで見ていてくださって、次は私もお願いしたい!と思ってくださっていました(^_^)

メールで症状を聞いてみたところ・・・(ライブ実習当日にお越しいただくので、事前情報はメールのみです)

・症状は口が大きく開かない。
開ける時にはくの字に開きます。
顎がカクッてなるので、歯医者さんの友達に聞いてみたところ、
顎関節症?と言われ、ひどくなると開かなくなると聞いてビクビクしています。
口を開く時、意識せずに開けた事が記憶にない感じです。

・犬歯が下の歯の形に削れています。
主人の話、母の話を総合すると、子供の時から歯ぎしりがひどいようです。
一度、歯科でリテイナーを作りましたが、メンテナンスできず放置です。

・顔以外の気になるところは、腰痛が徐々にひどくなり、2週に一度以上、マッサージに行っております。

・偏頭痛があったこともありますが、この2年ぐらいはない気がします。

ということでした。

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レントゲン写真です。

ひとつも修復物がなく、また歯周病もなく、大変綺麗な歯列をされています。

矯正治療の経験もありません。

顎関節症の原因として、インレーやクラウンなどの修復物が関与することがありますが、それも今回は当てはまらないようです。

それでは、一体なぜ??

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顎関節のレントゲン写真の診断の目安として、関節の変形がないかどうか、また円板に乗っているかどうかは、下顎頭と側頭骨の間に隙間があるかどうかをチェックします。

今回の場合、ぎりぎり隙間があったので、円板は脱落していないと診断しました。

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姿勢を観察します。

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瞳孔線や肩の高さの不均衡、指先の位置異常、脊柱の湾曲などを比べます。

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筋触診の方法について、外側翼突筋を口腔内から触診する方法、胸鎖乳突筋の起始である乳様突起から停止の胸骨までの触診し、左右どちらに異常があるかを調べます。

顎の構造と、筋肉の付着位置を確実に頭に入れておく事が大切です。

患者様、とても緊張をされていましたが、現在の症状や悩みについて、先生方の前で沢山お話をしてくださいました。

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クリック音の検査は、ドップラー聴診器を用います。

浅側頭動脈の血流を目安にそこから6ミリ前方に顎関節があります。

左右共に、かなり関節が傷ついた様な雑音が聞こえました。

雑音は、関節円板が傷ついている時に鳴ります。

これについては、2日目に詳しく解説いたします。

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開口量は、28ミリ。

クローズドロックの状態だと20ミリ前後の開口量なので、ギリギリ関節円板に乗っているという状態だと思います。

患者様はご自分で開口制限をされており、思いっきり開けるのが怖いそうです。

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上下の印象採得、フェイスボウトランスファーを行いました。

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中心位を2枚、チェックバイトを左右それぞれ記録を採りました。

中心位は、ナソロジーの古い考え方で、現在はそのような考えは存在しない。

とお考えの先生がかなりいらっしゃるというのを先日、聞き大変ビックリしました。

また、季節や気温によっても中心位が変わる事があるから当てにならない・・・

などなど。

全顎治療、咬合再構成をするパターンにおいて、中心位が決められないと仕事をすることができないと思います。

季節や気温で変化してしまったら、いつまで経っても補綴物が完成できませんし、咬合器を使って技工士とやり取りをすることも不可能となります。

中心位が確実に記録できるようになると、臨床の幅が広がります。

そして、全顎治療に自信を持って取り組む事ができるようになると思います。

中心位という言葉を最初に使ったのは、ナソロジーの始祖の一人であるB.B.McCollumで、1921によって名付けられた用語です。

当初は中心位は下顎を最後方位押し付けたみ位置で開閉すると安定した軸で再現できることから、ここを中心位と定め、咬合を再現する方法を発表しました。

その後、ナソロジーではStuartらによってRUMポジションとして、最後退位を中心位として咬合構成を行なってきました。

しかし、1973年にCelensaによって最後退位で装着されたリハビリテーションの、予後の精度を計測した結果を発表しました。

それによれば、32症例の内,30症例に咬頭嵌合位とのずれが0,02〜0.36あったという報告がありました。
それ以後、中心位は下顎頭は前上方にある事が望ましく、関節円板の再薄部に位置する部が中心位として理想であることとなったのです。

この位置は、歯列とは何ら関係ありませんが、歯列の咬合状態が咬頭嵌合位の時、顎関節が中心位をとるのが理想であることから、咬合を中心位に導く方法が考えられました。

最も理想的な関係は中心位と咬頭嵌合位が一致することです。
これが『Point in centric 』です。

しかし、多くのケースで不一致であるとが多く、中心位で下顎を閉じて行くと、どこか最初に閉口路を邪魔をする接触があります。

これを中心位の早期接触と呼び、しばしば顎関節に悪い影響を与えてしまいます。
これが『Slid in centric』です。

そこで、これを調節するために咬合調整を実施します。
顎関節を安定させながら咬頭嵌合位を作ることが非常に大切です。

ナソロジーにおける中心位の概念の違いが弱点となってしまい、ナソロジーを否定される方がいらっしゃると思いますが、全てが間違っていたわけではありません。

ナソロジーは一度は学ばなければいけない大切な知識だと、稲葉先生はいつも皆様にお伝えしています。

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上顎の模型です。

切歯乳頭から正中を確認し、ハーミュラーノッチの位置も見ておきます。

有歯顎のときの状態をよく覚えておくことが、総義歯の知識の参考ともなります。

という話もありました。

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下顎の右側の8番はレントゲンを見てもわかるように水平埋伏智歯です。

7番の傾斜に何か原因があるということも予想する必要もあります。

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フェイスボウトランスファーは歯科治療の際、診断と治療の基本になる作業です。

しかし、現実に一般の臨床で、この作業を行っている方はどの位いらっしゃるでしょうか?
おそらく10%に満たないのではと思います。

フェイスボウトランスファーは頭蓋の基準面を咬合器に付着する作業です。

したがって、咬合器の大きさも頭蓋と同じ大きさの物が要求されます。

ボンウィルの三角は一辺が10cmで成り立っていますので、顔面の幅で12cm程度の大きさが必要です。

フェイスボウトランスファーにより幅12cm程度の咬合器にトランスファーします。

歯列の三次元的位置を再現します。

すなわち、模型の付着位置を頭蓋骨に対し正確に位置付ける事が可能になります。

この様に付けられた模型により正確な診断と治療を行う事ができます。歯列の左右前後の傾き、スピーの彎曲、ウイルソンのカーブなどの診断が可能になります。

これは、顎関節症の診断と治療に大きな助けとなります。

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両顆頭と、下顎の前歯の切歯点を結んだ三角をボンウィルの三角(10センチ)といいますが、最低でもこの大きさの咬合器でないといけません。

小さな咬合器では不可能です。

ちなみに、ボンウィルの三角と咬合平面(曲面)とのなす角はバルクウィル角(平均26度)ですね☆

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天然歯の咬合湾曲には一般的によく知られているスピーの湾曲があります。

このスピーの湾曲は矢状面での咬合湾曲です。

さらに前頭面からみると、下顎の臼歯は舌側咬頭が頬側咬頭より低いため、あるいは舌側にわずかに15度ほど歯軸が傾斜しているために前頭面に湾曲ができます。

この湾曲は半径4インチ(10センチ)直径では8インチ(20センチ)の球体を下顎の歯列においた形になります。

(ちょうど、写真に映っている手鏡が、直径20センチの球体なので、参考になると思います♪)

これは、モンソンが提唱したモンソンの球面説といわれるものです。
モンソンカーブは一般に前頭面の面を言われていますが、矢状面、前頭面の両方で湾曲が生まれます。

したがって、通常モンソンカーブは前頭面のことを示しますが、スピーの湾曲と前頭面の両方の要素を持っています。これは、咬合様式を作る際に、大変大切な曲線です。

もうひとつ。

ウィルソンカーブは、何だったけ?

と混乱してしまうと思いますが、ウィルソンカーブはモンソンカーブと同じ前頭面からみたカーブです。

ウィルソンカーブとモンソンカーブは同じと考えていただいて構いません。

モンソンカーブとウィルソンカーブの違いは、モンソンカーブはスピーの湾曲の要素を持ち合わせていることです。

ということで、1日目だけで、盛り沢山な実習となりました。

明日は、咬合診断、リテイナー作りから始まり、ディグマによる記録、そして治療という流れになります(^_<)-☆

2016年3月15日

先日、私の母が編集し製作した、

『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』をDr.シュライヒにお送りしたところ、9枚もの長いお手紙をいただきました。

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Dr.シュライヒは、とても絵が上手でいらっしゃいます。

1926年生まれ、今年90歳とは思えないぐらいの文章力と、詳細な記憶力に驚かされました。

ガンタイプの印象材がでたことで、シュトラックデンチャーの精度が更に向上したことは喜ばしいことだと書かれていましたが、情報として、父である稲葉先生に伝えておきたい事が、まだまだ沢山あると書かれていました。

以下、Dr.シュライヒによるお手紙の文章の一部です。

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臼歯のOrthotype/Orthositeは、Dr.Rainer Strackによって開発されました。

彼は約70年前、尖端の尖ったピラミッド型で臼歯を改善することを考案しました。彼は、様々な噛み合わせによる下顎骨の動きの研究を行っていました。

小さなピラミッド型の角をお互いにくっつけて並べると、その間の部分が咀嚼によるすべての歯の動きをカバーすることを発見しました。

そして、彼は上記のように並べ、歯の形を作りました。

Dr. StrackにはEugen Schlaich(オイゲン・シュライヒ)という優秀なマイスター技工士がいました。

彼は過蓋咬合、通常咬合、交叉咬合の3種類のサンプルを作りました。

Dr.Strackは、Ivoclar社にこのサンプルを持ち込み、製造することに至りました。

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4000件にも及ぶ、下顎の総義歯の長年の研究報告から、ボンウィル三角はヨーロッパではあまり耐久性がなく、下顎の切歯中央点にも耐久力があまりないと判断しました。

しかし、この中央点は切歯点と共に、関節部分に適切な人工歯排列をすることにより耐久力を得る事ができます。

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私は、退職前の数年間、第二大臼歯の義歯の端に、最高のバランスを持つ接触点を見つけました。

噛む事によって義歯の安定を助けます。

Ivoclar社退職を余儀なくされた後、Onatomatは計画から外されました。

私は自宅で義歯と器具の改良に励みました。

人工歯は天然歯と同じように上手く機能すべきです。

歯のない患者の咀嚼圧は約20~30キロに対し、全ての歯が揃った若者の咀嚼圧は70~90キロと証明されています。

胃にとっては、よく咀嚼することが必要です。

私達は、その最善の可能性を患者に提供しなければいけません。

また、より良いIvocapシステムも作りました。

普通にIvocapで重合することは、35度でエアコンなし(ハワイのような)状態では不可能です。

また、2500メートルの高地でも問題があります(南アメリカ)。

水が70〜80℃で沸騰してしまうからです。

Ivocapシステムは、100℃のお湯が必要なのです!

以前、徳島県四国で研修の時に製作した患者の下顎骨は、テーブルのように平たく、Ivocapシステムの大きなフラスコの設計図を描きました。

Dr.Strackの理論、そして私のアイデアを継承している、稲葉先生のセミナーが上手くいくことを願っています。

・・・・・・・・・・・・・

Dr.シュトラック義歯の理論を応用し、まとめ上げ総義歯製作の体系を創り上げたの、Dr.シュライヒの功績からまだまだ勉強すべき事が沢山ありそうです。

まだまだ、お元気そうなので、再び美しいリヒテンシュタインを訪れてみたいな(^_<)-☆


2016年3月13日

当院顧問の稲葉繁先生は、1978年ドイツ、チュービンゲン大学の客員教授として留学をしていた際に、Ivoclar社主催の総入れ歯のセミナーを受講しました。

その時の補綴研修部長が、Dr.シュライヒです。彼は、ミュンヘン生まれのドイツ人です。

ミュンヘンで歯科技工士の資格を取り、その後矯正学を学び、Dr.の資格を取りました。

その後リヒテンシュタインのイボクラーの補綴部長として迎えられ、イボクラーのデンチャーシステムを完成させ、世界中に普及をしました。

現在のBPSの前身です。

そこでは、日本の歯科医療教育による総入れ歯とは、全く違う方法で行われていて、大変な衝撃を受けたといいます。

その1.png

稲葉先生が代表を務める、IPSGスタディーグループ発足の時、Dr,シュライヒをお招きし、総入れ歯の3日間実習コースを開催しました。

シュライヒ その2.png

実際に患者様の総入れ歯を3日間で製作するという形の原点となりました。

それから間もなく、稲葉先生は、ガンタイプのシリコン印象材が開発されたのを機に、「最終印象を上下顎同時印象で採る方法」を開発、発表しました。

名称未設定.png

そういった繋がりから、Dr.シュライヒは引退する際、沢山の資料やスライドを稲葉先生に託しました。

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そこには、シュトラックデンチャーを絶やさないでほしい、世界中に広めてほしいという願いが込められているのです。

日本で「総義歯の大家」といわれている方々は、少なからずDr.シュライヒの影響を受けています。

しかし、「オリジナルを学ぶこと」は何よりも大切だと思います。

日々進化し続けている歯科医療ですが、新しい技術であるかのように発表されたことは、実はすでに、何十年も前に行われていることだったりもします。

オリジナルを知っていれば、そういった情報に惑わされることがないのです。

〜Dr.シュライヒの経歴〜
・1926年ドイツミュンヘンで生まれ、父親はワイン作りのマイスター
・ミュンヘンで歯科技工士の資格を取得し、その後矯正学を勉強ドクターの資格をとる
・リヒテンシュタインのイボクラー社で補綴研修部長となり、イボクラーデンチャーシステムを完成させる
・その後イボクラーデンチャーシステムを広めるため世界各地で講演
・ブラジル、サンパウロ大学から名誉博士の称号を受ける
・1994年イボクラー社を退職

Dr.シュライヒはイボクラーデンチャーシステムで大きな業績を残しました。

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1. ナソマート咬合器はデュッセルドルフ大学のべドガー教授が開発しました。
2. 印象はミュンスター大学のマルクスコルス教授のイボトレーを用いました。
3. ゴシックアーチ描記のためのファンクショングラフはポーランドワルシャワ大学のクラインロック教授からヒントを得たものです。
4. 人工歯はチュービンゲン大学のDr.シュトラックのオルソシット人工歯を用いています。
5. 重合方法はイボカップシステムを開発しました。

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これらのまとめ上げ総義歯製作の体系を創り上げたのが、Dr.シュライヒです。
義歯のコンセプトは尊敬するDr.シュトラック義歯の理論を応用しました。

特にそれまでの義歯の基本はヨーロッパで主に用いられていたギージーの歯槽頂間線法則でしたが、それによると上下の人工歯の力の方向は歯槽頂を連ねた方向となり、どうしても上顎は小さくなる結果、上顎の頬側に空間が生じてしまい、義歯のボーダーの封鎖が難しいため維持が悪い結果となってしまいました。

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Dr.シュトラックは歯槽提とは関係なく口腔周囲筋の力を借りて、元有った場所に人工歯を排列し、義歯を安定させる方法を考えました。

Dr.シュライヒはこの理論を正確に再現しようとして、上記の1~5までの構成を創り上げ、素晴らしい義歯を完成させました。

1994年にDr.シュライヒがイボクラー社を退職して間もなく、彼の弟子であったMr.フリックが補綴部長となり、複雑なデンチャーシステムを単純化し、新たにBPS(Biofunctional Prothetic System)として応用されるようになりました。

上下顎同時印象法による総義歯はイボクラーのデンチャーシステムをさらに向上させ、シュトラックのデンチャーを確実に再現するように改良を加え、1996年に新しいデンチャーシステムを完成させ現在に至っています。

*:..。o○☆゜・:,。*:..。o○☆*:゜・:,。*:.。o○☆゜・:,。

実は、私が歯科大学に入る前、Dr.シュライヒのリヒテンシュタインのご自宅に一週間ほどホームステイをさせていただいたことがあります。

当時は、そんなにスゴイ方だと全く思わず・・・父である稲葉先生の仕事仲間ぐらいにしか思っていませんでした(^_^;

サボテンが趣味で、毎日数時間、永遠とサボテンの話を聞かせて頂いた事を思い出します。
そして、自転車もお好きで、2人で毎日お城巡りをしました。

私との会話の中に一切歯の話題がなく、それ以外の趣味があまりにも豊富で、どんな事にも興味を抱く方であったからこそ、このような素晴らしいシステムが開発されたのでしょうね。

Ivoclarの名前の由来ご存知でしょうか?

「Ivory 」アイボリー「clear」明るい から取ったそうですよ。

Dr.シュライヒから頂いた、9枚のお手紙の内容をもう少し詳しく、次回お伝えしたいと思います。




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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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