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2015年12月22日

IPSG代表、稲葉繁先生の講演です。

『わたしの臨床50年を振り返って』

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1964年の日本は戦後の経済成長と東京オリンピックの開催で沸き返っていました。

そんな時、稲葉先生は歯科医師として歩み始めました。

当時の日本の歯科医療は発展途上でした。

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卒業後国家試験に合格はしたものの、あまりに歯科医療が徒弟制度的で興味が持てなかったので、大学院に進み学問的で理論的な勉強をして見たいと考えました。

1966年ころに保母須弥也先生がアメリカから帰国され、メタルボンドが日本に紹介されました。

同時にナソロジーが衝撃的にデヴューし、ラウリッツェン、スチュアート、ピーター・K・トーマス、ギシェーらの各先生が研修を行いアメリカとの差をまざまざと見せつけられました。

そのころから稲葉先生は歯科医療の在り方を見つめなおし、常に歯科医療により全身の健康保持には重要な一部門であることを深く考えるようになりました。

丁度その頃この度の特別講演をして下さる桑田正博先生がアメリカで活躍されている噂が流されてきました。

先生はメタルボンドポーセレンの開発者であると同時に前記の先生方と仕事をされると同時に、世界各地で講師として研修をされ、指導者として日本の歯科界を牽引されている方です。

この当時、稲葉先生はナソロジーを徹底的に学びました。

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その後1978年にドイツのチュービンゲン大学に留学し、アメリカにはないテレスコープシステムに代表されるドイツ式補綴を覚え、また顎関節症の治療方法を会得してきました。

それから現在まで約50年多くの患者様の治療に取り組んできました。

こちらは、稲葉先生が当時チュービンゲン大学の学生達に講義したスライドです。

『咬合面は地図である』

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咬合面の谷や山にはすべて意味があります。

咬合面の8つの要素、そしてワックスコーンテクニックは、歯科医師、歯科技工士の共通の大切な知識です。

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稲葉先生は、当時日本から離れ、世界中の歯科の巨匠から沢山の事を学んできました。

若いドクター達に伝えたい事は・・・

『日本の歯科医療がトップだと思っていてはいけない。

世界から立ち後れている事は多々あり、常に海外にアンテナを張る必要があります。

これからは、英語を学び、海外の情報をしっかり得ることが大切です。

私は、ドイツに住んでいた事で、ドイツ人の考え方、生き方を学ぶ事ができました。

若い先生方はこれから、チャンスを掴んでいただきたいと思います。』


IPSG Scientific Meeting のスペシャルゲスト、歯科業界で、この方を知らない人はいないくらい、
世界で活躍されている技工士の桑田正博先生です。

〜略歴〜
クワタカレッジ   校長
愛歯技工専門学校  名誉校長
ボストン大学歯学部 客員教授
天津医科大学    客員教授
アメリカ歯科審美学会(AAED)  ライフフェロー
アメリカ歯科審美協会(ASDA)  フェローメンバー
国際歯科セラミック学会(ISDC) フェローメンバー
国際歯科学士会(ICD)      名誉フェロー
ヨーロッパ歯科審美学会(EAED) 名誉フェロー
アメリカ補綴歯科学会(AP)    オーナラリーフェロー
ロシア歯科医師会          名誉会員

桑田先生は、金属焼き付けポーセレンの開発などが評価され、Academy of Prothodontics
(アメリカ歯科補綴学会)の名誉会員を授与されたり、数々の栄誉賞を受けています。
今後、日本の歯科技工技術・制度を向上させていくには、桑田先生の存在が不可欠です。

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今回、快く講演を引き受けてくださった桑田先生。

長い間海外でお仕事をされていたこともあって、私の印象は、とても紳士。

やはり、実力のある方の振る舞い、態度、言葉はどれをとっても一流ですね。

今回、快く講演を引き受けてくださった桑田先生。

歯科医師、歯科技工士の割合を考えて、3つのパターンの講演を準備してくださっていたそうです。

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世界で最初の歯科医師、First Dentist はPierre Fauchardと言われていますが、日本の歴史を振り返ると、日本の木床義歯、デンチャーの技術は大変素晴らしかったと言うお話から始まりました。

確かに、ジョージ・ワシントンの入れ歯よりもずっと優れていたかもしれません。



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桑田先生は、歯科界のレベルアップのために1962年、ニューヨークへ渡米されました。

そこで、メタルボンドの開発チームに入る事になります。

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History of P.F.M

1960年当時、日本には歯科の情報がほとんどありませんでした。

桑田先生は、Father of Occlusionと呼ばれる、かの有名なスカイラーからナソロジーの基礎知識を直接教わったとおっしゃっていました。

ロングセントリック、ワイドセントリックなどを発表された先生。

ボンウィル、バルクウィル角などの咬合の知識もスカイラーから教わったそうです。

凄いですね!

そして、写真は桑田先生の初めてのフルマウス症例であり、長期症例です。

素晴らしいです。

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世界中の誰もやっていないことを、桑田先生は挑戦してこられました。

1965年、保母須弥也先生との写真。

歴史の証人として、日本の歯科界を失い本当に残念だとおっしゃっていました。

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ワックスコーンテクニックを広めた、P.K トーマスとは、世界中を一緒に回って講演をしました。

支台歯形成についても、歯の形態的特徴から咬合面の厚み、解剖学的に細かく計測した形成方法について、私達歯科医師に沢山のヒントをいただきました。

丸みをつけることで、咬頭に圧縮圧を受け止めることができること、ジルコニアがチッピングする原因なども教えてくださいました。

歯科医師、歯科技工士のコミュニケーションツールとなる

ディープシャンファー

ベベルドショルダー

ライトシャンファー

そして、マージンの限界角度50度など。

お互いの共通知識をまとめてくださり、プロビジョナルの奥深さを学ぶことができました。


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桑田先生こそ、歴史の証人。

教科書にでてくる、歯科界の巨匠達としっかりと絆を繋いできて、日本の歯科界の向上に貢献されています。

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『人は生涯のうち逢うべき人には必ず逢う。しかも、一瞬早かりもせず、遅かりもせず。」

素晴らしい言葉ですね!




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桑田先生、そして稲葉先生もこの言葉によって導かれたのかもしれません。

これを機会に、歯科医師、歯科技工士共にレベルアップを計り、コミュニケーションがスムーズになるようにお互い知識を高めていくことができれば素晴らしいですね♪

桑田先生、本当にありがとうございました。

2015年12月21日

今年最後のIPSG包括歯科医療研究会の大きなイベント、"IPSG Scientific Meeting 2015"が開催されましたので、報告させていただきます。

会場は日本歯科大学九段ホール。

全国から沢山の先生方にお集りいただだき、ありがとうございました!

歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士がお互いの知識の情報交換し、レベルアップを図る1年に1度開催されるIPSGの大きなイベントです。

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今回のトップバッターは、稲葉歯科医院、小西浩介先生です。

『患者満足度の高い診療を目指して』

IPSGでは初めての発表となりますが、堂々と落ち着いていて素晴らしいと感じました。

稲葉先生のアシスタントは歴代数々のドクターがされてきましたが、現在では皆、IPSGの指導者として活躍されています。

小西先生が稲葉先生のアシスタントを通して感じることは、メンテナンスに来られる患者様の多くが、30年を越える長期症例であること。

なぜこんなにも多くの患者様を、長期症例にすることができるのか。

確実な診査診断、そして設計はもちろんのことですが、やはりドイツでは120年以上の歴史あるテレスコープシステムを稲葉先生自身が一次情報を得て実際に治療されているからということをお話されていました。

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片側遊離端症例コーヌスクローネ、リーゲルテレスコープどちらを選択するか迷う方が多いように感じます。

遊離端義歯は後方が水平に動き、あたかも魚の尻尾を降っているかのように左右に動いてしまいます。

そこでクラスプ義歯では対処する事が難しくなります。

テレスコープクラウンhが装着されると、動きがなく遊離端いは良いと思われますが、コーヌスクローネに使いますと、二次固定となり、支台装置が離れているため、最後方の歯に負担がかかりすぎます。

その結果最高峰の歯が支点となり、その前の歯は浮き上がってしまい、コーヌス効果が失われてしまいます。

余程条件がよくない限りコーヌスはお勧めできません。

さらに最後方の歯が無髄歯である場合には、咬合力により歯根破折が生じてしまいます。

有髄歯の支台であることも大前提です。

また、最後方の歯に負担がかからないように前方の歯は一次固定をするのが良いと思います。

このような条件から、『リーゲルテレスコープ』が最善と選択しました。

リーベルは2本の小臼歯を内冠で固定し、さらにその遠心にシュレーダーゲシーベと呼ぶ、長さ5ミリ程の延長ダミーのような装置を作り、その遠心にリーゲルの閂装置を作ります。

そのようにしたリーゲルテレスコープ義歯は二次固定されているので、咬合力が小臼歯に分散され、最後方の支台には無理がかかりません。

また、咬合力により外れるような事もありません。

コーヌスクローネを片側遊離端症例から挑戦する方多いと思いますが、余程条件が揃わない限り、行わない方が良いということは、大変貴重な情報だと感じました。

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最後に、患者様に最善の治療が提供できるのは、稲葉歯科医院のチームワークによるものだとお話をいただきました(^_^)

会場の先生方の笑いもとるなど、聞く人を飽きさせない素晴らしい発表でした♪

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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