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2016年3月15日

先日、私の母が編集し製作した、

『ライブで見せる究極の総義歯Ⅱ』をDr.シュライヒにお送りしたところ、9枚もの長いお手紙をいただきました。

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Dr.シュライヒは、とても絵が上手でいらっしゃいます。

1926年生まれ、今年90歳とは思えないぐらいの文章力と、詳細な記憶力に驚かされました。

ガンタイプの印象材がでたことで、シュトラックデンチャーの精度が更に向上したことは喜ばしいことだと書かれていましたが、情報として、父である稲葉先生に伝えておきたい事が、まだまだ沢山あると書かれていました。

以下、Dr.シュライヒによるお手紙の文章の一部です。

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臼歯のOrthotype/Orthositeは、Dr.Rainer Strackによって開発されました。

彼は約70年前、尖端の尖ったピラミッド型で臼歯を改善することを考案しました。彼は、様々な噛み合わせによる下顎骨の動きの研究を行っていました。

小さなピラミッド型の角をお互いにくっつけて並べると、その間の部分が咀嚼によるすべての歯の動きをカバーすることを発見しました。

そして、彼は上記のように並べ、歯の形を作りました。

Dr. StrackにはEugen Schlaich(オイゲン・シュライヒ)という優秀なマイスター技工士がいました。

彼は過蓋咬合、通常咬合、交叉咬合の3種類のサンプルを作りました。

Dr.Strackは、Ivoclar社にこのサンプルを持ち込み、製造することに至りました。

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4000件にも及ぶ、下顎の総義歯の長年の研究報告から、ボンウィル三角はヨーロッパではあまり耐久性がなく、下顎の切歯中央点にも耐久力があまりないと判断しました。

しかし、この中央点は切歯点と共に、関節部分に適切な人工歯排列をすることにより耐久力を得る事ができます。

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私は、退職前の数年間、第二大臼歯の義歯の端に、最高のバランスを持つ接触点を見つけました。

噛む事によって義歯の安定を助けます。

Ivoclar社退職を余儀なくされた後、Onatomatは計画から外されました。

私は自宅で義歯と器具の改良に励みました。

人工歯は天然歯と同じように上手く機能すべきです。

歯のない患者の咀嚼圧は約20~30キロに対し、全ての歯が揃った若者の咀嚼圧は70~90キロと証明されています。

胃にとっては、よく咀嚼することが必要です。

私達は、その最善の可能性を患者に提供しなければいけません。

また、より良いIvocapシステムも作りました。

普通にIvocapで重合することは、35度でエアコンなし(ハワイのような)状態では不可能です。

また、2500メートルの高地でも問題があります(南アメリカ)。

水が70〜80℃で沸騰してしまうからです。

Ivocapシステムは、100℃のお湯が必要なのです!

以前、徳島県四国で研修の時に製作した患者の下顎骨は、テーブルのように平たく、Ivocapシステムの大きなフラスコの設計図を描きました。

Dr.Strackの理論、そして私のアイデアを継承している、稲葉先生のセミナーが上手くいくことを願っています。

・・・・・・・・・・・・・

Dr.シュトラック義歯の理論を応用し、まとめ上げ総義歯製作の体系を創り上げたの、Dr.シュライヒの功績からまだまだ勉強すべき事が沢山ありそうです。

まだまだ、お元気そうなので、再び美しいリヒテンシュタインを訪れてみたいな(^_<)-☆


2016年3月13日

当院顧問の稲葉繁先生は、1978年ドイツ、チュービンゲン大学の客員教授として留学をしていた際に、Ivoclar社主催の総入れ歯のセミナーを受講しました。

その時の補綴研修部長が、Dr.シュライヒです。彼は、ミュンヘン生まれのドイツ人です。

ミュンヘンで歯科技工士の資格を取り、その後矯正学を学び、Dr.の資格を取りました。

その後リヒテンシュタインのイボクラーの補綴部長として迎えられ、イボクラーのデンチャーシステムを完成させ、世界中に普及をしました。

現在のBPSの前身です。

そこでは、日本の歯科医療教育による総入れ歯とは、全く違う方法で行われていて、大変な衝撃を受けたといいます。

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稲葉先生が代表を務める、IPSGスタディーグループ発足の時、Dr,シュライヒをお招きし、総入れ歯の3日間実習コースを開催しました。

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実際に患者様の総入れ歯を3日間で製作するという形の原点となりました。

それから間もなく、稲葉先生は、ガンタイプのシリコン印象材が開発されたのを機に、「最終印象を上下顎同時印象で採る方法」を開発、発表しました。

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そういった繋がりから、Dr.シュライヒは引退する際、沢山の資料やスライドを稲葉先生に託しました。

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そこには、シュトラックデンチャーを絶やさないでほしい、世界中に広めてほしいという願いが込められているのです。

日本で「総義歯の大家」といわれている方々は、少なからずDr.シュライヒの影響を受けています。

しかし、「オリジナルを学ぶこと」は何よりも大切だと思います。

日々進化し続けている歯科医療ですが、新しい技術であるかのように発表されたことは、実はすでに、何十年も前に行われていることだったりもします。

オリジナルを知っていれば、そういった情報に惑わされることがないのです。

〜Dr.シュライヒの経歴〜
・1926年ドイツミュンヘンで生まれ、父親はワイン作りのマイスター
・ミュンヘンで歯科技工士の資格を取得し、その後矯正学を勉強ドクターの資格をとる
・リヒテンシュタインのイボクラー社で補綴研修部長となり、イボクラーデンチャーシステムを完成させる
・その後イボクラーデンチャーシステムを広めるため世界各地で講演
・ブラジル、サンパウロ大学から名誉博士の称号を受ける
・1994年イボクラー社を退職

Dr.シュライヒはイボクラーデンチャーシステムで大きな業績を残しました。

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1. ナソマート咬合器はデュッセルドルフ大学のべドガー教授が開発しました。
2. 印象はミュンスター大学のマルクスコルス教授のイボトレーを用いました。
3. ゴシックアーチ描記のためのファンクショングラフはポーランドワルシャワ大学のクラインロック教授からヒントを得たものです。
4. 人工歯はチュービンゲン大学のDr.シュトラックのオルソシット人工歯を用いています。
5. 重合方法はイボカップシステムを開発しました。

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これらのまとめ上げ総義歯製作の体系を創り上げたのが、Dr.シュライヒです。
義歯のコンセプトは尊敬するDr.シュトラック義歯の理論を応用しました。

特にそれまでの義歯の基本はヨーロッパで主に用いられていたギージーの歯槽頂間線法則でしたが、それによると上下の人工歯の力の方向は歯槽頂を連ねた方向となり、どうしても上顎は小さくなる結果、上顎の頬側に空間が生じてしまい、義歯のボーダーの封鎖が難しいため維持が悪い結果となってしまいました。

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Dr.シュトラックは歯槽提とは関係なく口腔周囲筋の力を借りて、元有った場所に人工歯を排列し、義歯を安定させる方法を考えました。

Dr.シュライヒはこの理論を正確に再現しようとして、上記の1~5までの構成を創り上げ、素晴らしい義歯を完成させました。

1994年にDr.シュライヒがイボクラー社を退職して間もなく、彼の弟子であったMr.フリックが補綴部長となり、複雑なデンチャーシステムを単純化し、新たにBPS(Biofunctional Prothetic System)として応用されるようになりました。

上下顎同時印象法による総義歯はイボクラーのデンチャーシステムをさらに向上させ、シュトラックのデンチャーを確実に再現するように改良を加え、1996年に新しいデンチャーシステムを完成させ現在に至っています。

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実は、私が歯科大学に入る前、Dr.シュライヒのリヒテンシュタインのご自宅に一週間ほどホームステイをさせていただいたことがあります。

当時は、そんなにスゴイ方だと全く思わず・・・父である稲葉先生の仕事仲間ぐらいにしか思っていませんでした(^_^;

サボテンが趣味で、毎日数時間、永遠とサボテンの話を聞かせて頂いた事を思い出します。
そして、自転車もお好きで、2人で毎日お城巡りをしました。

私との会話の中に一切歯の話題がなく、それ以外の趣味があまりにも豊富で、どんな事にも興味を抱く方であったからこそ、このような素晴らしいシステムが開発されたのでしょうね。

Ivoclarの名前の由来ご存知でしょうか?

「Ivory 」アイボリー「clear」明るい から取ったそうですよ。

Dr.シュライヒから頂いた、9枚のお手紙の内容をもう少し詳しく、次回お伝えしたいと思います。




2016年3月 1日

こんにちは。

稲葉歯科医院院長、稲葉由里子です。

2016『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』が開催されたのでご報告させていただきます♪

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全国から沢山の歯科医師、歯科技工士の先生にお集り頂きました。

ドイツ最先端義歯テレスコープシステムは、歯科医師、歯科技工士のチームワークが非常に大切となるのでこのような学びの場があることを心から嬉しく思います。

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今回、素晴らしいスペシャルゲストをお招きしました。

神奈川歯科大学付属横浜クリニックインプラント科の林昌二先生です。

林先生とは、ISOI国際インプラント学会へ出席させていただいたときに、IPSG20周年にお招きした、Weber教授よりご紹介いただきました。

林先生は1996年にドイツ、チュービンゲン大学、Weber教授のもとに留学をされました。

稲葉先生が1978年、その18年後ということになります。

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33歳という若さで教授となったWeber教授。

こちらQDTの記事の中には

『チュービンゲン大学補綴第2講座の主任教授、Hener Weber博士が本学術大会において"固定性および可撤性の補綴における新しいテクニック"について講演される。1982年からチュービンゲン大学の教授となり、世界的に活躍している若手のホープである。〜中略〜西ドイツといえば、すでにご承知のごとく、アタッチメントコーヌスクローネをはじめとして、新しい治療様式の開発がさかんなメッカである。Weber教授は補綴学分野において新しい技術の開発を行っている事から考えて、いかに先駆的な研究をしているかわかっていただけるだろう。・・・』

という内容で紹介されていました。

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ドイツ人は日本人に近い感覚があり、一度仲良く波長が合うと、日本人以上に仲良くなります。

アメリカに留学する先生が多い中、ドイツで学んだ経験は大きかったとおっしゃっていました。

林先生は、ドイツ医学と日本医学の架け橋となり、ご自身が学ばれた事に対して恩返しをしたいともおっしゃっていました。

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林先生は、Tuebingen大学で電鋳の研究を主にされていらっしゃいました。

今、ドイツでは鋳造に変わり、電鋳や放電加工の技術が大変進んでいます。

ジルコニウムとゴールドの複合などは、鋳造では不可能ですが、電鋳だからこそできるメリットがあります。

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こちらは放電加工技術による、シュベンクリーゲルの加工をしているところです。

電鋳と放電加工の違いが、いまいちわからない方、多いと思いますが、電鋳は貼付ける方法、放電加工は掘り出す方法と私は理解しています(^_<)-☆

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さて、現在日本では、インプラントの上部構造のほとんどがスクリューによる固定、そしてセメント合着によるものだと思います。

しかし、高齢社会が進んでいく中で、清掃性が悪い事、粘膜負担に出来ない事などが大きなリスクとなると思います。

患者様自身が取り外しを行える事で、メンテナンスも容易になります。

天然歯のみでなく、インプラントとのコンビネーションもドイツでは盛んに行われており、今後日本に求められる技術となるのは明確だと思います。

インプラントオーバーデンチャーの欠点について

・心理的な問題

・アバットメント歯冠高径スペースが必要

・メンテナンス

・リライニング

・食偏介入

などがあるかと思います。

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可撤性(取り外しができる)テレスコープにおけるメリットは、

清掃性の向上、そしてインプラント周囲炎の改善などが上げられます。

また、粘膜負担が可能となるため、インプラントの本数が少なくともすみます。

補綴的リスクファクター

ブラキシズム、本数、サイズや歯冠・インプラント体比、傾斜埋入、側方力などが、可撤性テレスコープを行う事により解決できるメリットがあります。

"Passive Fit"

電鋳や放電加工技術の強度や適合は今ある歯科技工で一番精度が高い技術です。

"Excellent Fit"とは技術的に考えられる適合精度の限界を意味します。

精度のランクとしては、

Good fit,Average git,Loose git,Poor fitがあると言われていますが、Passive fitは歯科における鋳造法で制作された冠等の適合限界を意味します。

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Extrakoronale Geshiebe

歯冠外アタッチメント。

素晴らしいですね!

リーゲルテレスコープに付与する、シュレーダーゲシーベと同じ役割をします。

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ドイツでは、固定性から可撤性にという傾向にあります。

なぜなら、ドイツではアタッチメントによりリジットにできる技術があり、130年の歴史があるからです。

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Pin Attachmentなど、Weber教授も盛んに取り入れているテクニックです。

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林先生がTuebingen大学に留学してからのドイツの流れは、

以前は機能を優先したスクリュー固定

そして、審美優先の時代はセメント合着

現在は、リカバリー優先の可撤性テレスコープというように進化しています。


最後に・・・

林先生より

『インプラント学会において、可撤性テレスコープの話をする機会がありますが、テレスコープを知る先生が少なく、やはり、やはり大学教養過程で補綴講義に取り入れないといけないと思いました。

卒後教育でもされていない現状から、正しい知識と技術が必要になり稲葉先生の存在は非常に大きいと思います。

講義にお呼び頂いてありがとうございました。』

とご連絡いただきました。

IPSGでは、これから林昌二先生と共に、テレスコープシステムを広めていきたいと思います。

稲葉先生は、テレスコープ全盛期にドイツへ留学するというチャンスを得、帰国後沢山の長期症例を作っています。

患者様の口の中でどれだけ長く機能できるのかが、大切なことではないでしょうか?

この技術を日本で絶やさないように、なんとか広めていきたいと思います♪

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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