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2010年2月25日

入れ歯による顎(がく)関節症について

「顎(あご)が大きくひらけない」「顎の関節付近が痛い」という症状を訴え、さらに詳しい問診をすると、「肩がこる」「腰が痛い」「手足がしびれる」「耳鳴りがする」「偏頭痛がひどい」というような症状をもつ中高年の患者さんが増えてきています。

これは顎関節症と言われる症状です。

顎(あご)付近の痛みを訴えたり、口がひらかない、顎のあたりでパキン、ジョリジョリ、コッキン、という音がするといったものです。

 顎関節症というと20代から30代に多い疾患とされてきましたが、若い人の、歯並びが悪い、親知らずによるかみ合わせのバランスが悪いといった原因とは 違い、中高年からの顎関節症の原因は、歯にかぶせてある銀歯や、詰め物、とくに入れ歯によるかみ合わせのバランスがあっていないことに起因しております。

 

入れ歯が原因による顎関節症の症例

右側の顎の痛み、お口がまっすぐ開けられないということで来院されました。

正面から見て顎を開けると左側にずれているのがわかります。 

 

 

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入れ歯を見ると、右側に比べて左側の歯が異常にすり減っているのがわかります。
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顎(あご)関節のレントゲン写真をとってみました。

左側の関節円板(顎と骨のあいだのクッション、このクッションにのって顎は動きます)が落ちてしまっていると診断しました。


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入れ歯を作りなおす前の治療法として、以前作った入れ歯を複製し、下顎頭を下げて、顎がスムーズに動くように、右側の噛み合わせを2ミりあげました。

その複製入れ歯でまっすぐお口が開けられるのを確認し、顎の痛みもとれたため、新しく入れ歯を作りなおすことになりました。

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上下顎同時印象法により、稲葉式総入れ歯の型をとります。
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かみ合わせの器械はKAVO Protar咬合器のPDR Insert を用い、下顎頭を下方に下げ、顎がスムーズに動くようになるように調整しました。
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顎機能検査、CADIACSを使って、PDRインサートを0にした時、PDRインサートを2ミリにした時のグラフで右の顎が2ミリ下がっていることを確認し、入れ歯を完成させました。

 

 

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完成した入れ歯によって、顎の痛みはすっかり良くなり、お口もまっすぐ開けることができるようになりました。

この治療法は入れ歯で顎関節が動くように誘導させるものです。

この症例は、稲葉繁先生のもので、非常に高度な知識が必要です。

長い間、合っていない入れ歯を使っていると、入れ歯による顎関節症を引き起こすことが十分考えられます。

入れ歯による顎関節症の症例

この患者様はある先生からのご紹介で、

「すべて歯を治したのだけど、顎の具合が悪くなってしまったので診ていただきたい。」

 とのことでした。

診てみると、このような状態でした。

治療されている歯はすべて保険の歯で、奥歯が銀歯でいっぱいでした。

神経もほとんど治療されていて、治療が終わった後は顎関節症になってしまいました。

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患者様は精神的にも病んでしまっていて、お顔の表情も暗く、体全身、顎の具合も悪い状態でした。

患者様に状態を説明して、すべて やり直しをすることになりました。

上下の歯、すべて、セラミックでやり直すことになったりました。

稲葉繁先生と、技工士の川崎従道先生との連携によるものです。

川崎従道先生とは、スイスで10年間技工を勉強しながら働き、スイスの技工士学校の講師も務めていた、非常にすばらしい先生です。

先生の作った歯は、天然歯の美しさに限りなく近く、とても細かい機能まで再現されています。

体の正中に対する顎の位置を記録、型とりの方法は、DR.LEHMANによるシリコン印象法です。

 

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精密に型とりをした模型を技工士の川崎先生へ送ります。

歯肉つき模型を製作します。


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診断用のワックスアップ

ワックスで歯の形を作り、最終的にどんな形にしたらいいかを診断します。

 

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歯一本一本、ルールのある形、溝がついていて、顎を前に出した時、横にずらした時の通り道をワックスで再現してあります。

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ワックスで形が決まったら、セラミックを焼きつけるメタルコーピングを製作します。

 

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完成したセラミック

一本につき、24色の色を使っているそうです。

以前、私がセラミックを作る実習を川崎先生から受けた時、一本作るのに一日かかりました。

24本の歯を作るのにどれだけの時間と集中力が必要なのかがわかります。

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セラミックをお口の中にセットした状態。

ほとんど無調整です。

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患者様の表情も、治療前と後ではこんなにかわり、素敵な笑顔に。

歯を治したと同時に顎の具合も良くなりました。

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  そして、5年後の写真。

治療した当初よりも歯と歯ぐきがなじみ、美しくなっています。

現在治療後10年近くたちますが、今もかわらず素敵な笑顔でメンテナンスをされています。

 

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セラミックのブリッジとコーヌステレスコープの症例

初診時



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かみあわせが深く、下の歯が見えません。

それぞれ、むし歯の治療を違う歯科医院でなおしてきたそうです。
入れ歯を作るときに大切なことは、歯が並んでいる平面が左右対称で、体の正中、真ん中の線に対して垂直であることです。
それが、この状態ではバラバラになってしまっています。


 

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歯が抜けてしまったところをただ埋めたような感じで、全体にバランスがとれていません。

抜けてしまったところは金属の金具(ばね)のついた部分入れ歯が入っています。

このようにバランスのとれていない歯は一本ずつ治療をしても治りません。
すべてのかぶせ物をはずし、全体のかみ合わせの平面をなおします。


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すべての金属をはずしたところです。

 
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かりの歯をつくっているところ。
この時点で左右が対象になるように、笑った時上の歯も下の歯もみえるようにかみ合わせをなおします。


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上の歯はセラミックによる全体的に連結したブリッジ。
下の歯はコーヌステレスコープで治療しました。
最初のときに比べて笑った時、すべての歯がきれいに見えるようになりました。かみ合わせの高さを上げたため、口元のしわも伸びて若返ったようだとおっしゃっていただき、大変よろこんでくださいました。

22年経過したリーゲルテレスコープの症例(稲葉繁先生による)

初診の状態

上の歯は前歯に部分入れ歯、下の歯は奥歯が欠損していて、バネつきの入れ歯がはいっていました。 

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入れ歯を口からはずした様子
このままだと近い将来、総入れ歯になる可能性が高いです。

部分入れ歯の金具(バネ)による歯の負担が非常に大きいからです。



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これ以上、歯を失いたくないという患者様のご希望により、上下の歯をリーゲルテレスコープで治療することになりました。


1987年当時、いまから22年前としては非常にめずらしい、全部の歯を一緒に鋳造しています。(ワンピースキャスト)
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完成したリーゲルテレスコープ、すべて一体で鋳造しているため、とても強いです。(ろう着だと、折れてしまいます。)

リーゲルテレスコープは途中で入れ歯が折れたり、割れたりすることはありません。 

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10年経過したリーゲルテレスコープ。

装着したときとほとんど状態が変わっていません。

修理も必要ありません。


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17年経過、写真むかって右側の犬歯の歯が割れてしまいました。(もともと神経がない弱い歯でした)

歯をぬくことになりましたが、リーゲルテレスコープは修理をすることができるため、修理し、抜いたその日のうちに入れ歯を使うことができました。

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患者様は22年前に、この方法で治さなかったら、歯をすべて失ってしまっていた。

とおっしゃっています。

現在も、奥様と一緒に毎月メンテナンスにみえています。

このように、リーゲルテレスコープは、今ある歯を連結固定して、守ることができます。

そして、メンテナンスにより、歯の寿命をのばすことができます。

先日、マグネットのついた部分入れ歯を入れた患者様が来院されました。

「かめない ・・・・」

ということです。

たしかに手で取り外しができるぐらいの接着力、食べ物をすりつぶす力で簡単にずれてしまうと思います。

リーゲルテレスコープは入れ歯の中に小さな鍵のようなものが組み込まれたものです。

その鍵の開閉によって入れ歯を着脱します。

食べ物をすりつぶす力ではけっしてはずれません。

 

リーゲルテレスコープの症例(稲葉 繁先生による)

  とても難しい症例です。

 上の歯は前歯だけしか残っていなくて簡単な歯が入っていました。

問題は下の歯です。

前歯のすり減りがはげしく、後ろの歯は極度に骨が吸収しているのがわかります。

食事をすることができなくなってしまい、入れ歯はすぐにこわれてしまうとのことで、 非常に困って来院されました。

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とりあえず、今使っている歯を補強して修理をしました。

かみ合わせの平面もずれていたため左右対称にそろえました。

上の歯も仮の歯を入れたところです。

この時点で患者様はかめることに非常に喜ばれました。

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ワックスで模型診断をしたあと、上下の歯をリーゲルテレスコープで治すことになりました。

下の写真は精密な型取りをしたところです。

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出来上がった上の歯です。

鍵(リーゲルレバー)が閉じている状態と開いた状態。

指で簡単に開閉することができます。閉じると舌で触っても全くわからなくなります。

とりはずしができるブリッジのようなイメージです。

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下の歯のリーゲルテレスコープです。

鍵が閉じているところと開いているところです。

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歯の部分はセラミックで作ったため、審美的にもとてもきれいに仕上がりました。

お口の中に入れると、金属の部分は見えなくなります。

症例
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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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